第9章 M-Vの衛星たち

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「のぞみ」再び惑星間空間へ

しかし、「のぞみ」は、チームの健闘もむなしく、2003年12月9日20時30分の時点で不具合の箇所を修復することができなかったことを確認し、火星周回軌道への投入を断念せざるを得なくなった。同日20時45分から21時15分まで、火星への衝突確率を下げるための軌道変更のコマンドを打った。その結果「のぞみ」は、12月14日に火星の表面から約1,000kmのところを通過し、12月16日には火星の重力圏を脱出して、再び27万人の名前とともに太陽を中心とする軌道上の旅を続けることになったのである。

この5年間、日本で初めての惑星探査機にふさわしくさまざまな困難に遭遇しながら、チームの知恵と頑張りで数々の難関を乗り越えてきた「のぞみ」は、今一歩のところで及ばなかった。

日本初の惑星探査であった「のぞみ」が、X線天文学や宇宙プラズマ物理学ほどの成熟を示すことが難しいことは当然としても、この5年間の「のぞみ」チームの苦闘が遺した教訓を今後の惑星探査に最大限生かすことが、国民から科学・技術の現場を預かっているグループの努めである。謙虚に冷静にこれまでの足取りを振り返ることによってこそ、活路は開ける。天体物理学関係の業績に劣らない世界の惑星探査への寄与をなしとげるには、これまで30数機の火星探査機を送って20機が失敗している米ソの経験も含め、「過去から学ぶ」以外に道はないのである。その「のぞみ」の遺産については、以下を参照されたい。

火星軌道に到達した「のぞみ」(想像図)

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