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「星の王子さまに会いに行きませんか」ミリオンキャンペーン

アルミフィルムに刻まれた名前

「はやぶさ/MUSES-C」ターゲットマーカーに包み込まれた名前フィルム

「はやぶさ/MUSES-C」ターゲットマーカーに包み込まれた名前フィルム

「はやぶさ/MUSES-C」の下面に取り付けられたターゲットマーカー

「はやぶさ/MUSES-C」の下面に取り付けられたターゲットマーカー

2002年6月、宇宙科学研究所では、「星の王子さまに会いに行きませんか」キャンペーンを発表した。これは全世界の人々の名前を募り、MUSES-Cが小惑星に接近する際に目印として予め投下される「ターゲット・マーカー」に載せようという企画である。

キャンペーンには、日本惑星協会に全面的に共催して頂いたおかげもあって、世界の149ヵ国から約88万人もの応募が寄せられた。1998年、PLANET-B(のぞみ)の打上げの時に行った「あなたの名前を火星へ」キャンペーンは約27万人だったが、この時は「ハガキに自筆の名前」という原則だったのに対し、今回はインターネットによる申し込みも併用したので、大変効率よく集計された。

それにしても世の中には宇宙に夢や憧れを抱く人々の多いことに、あらためて意を強くした。この88万人の人々の名前は、アルミニウムのフィルムにエッチング焼き付けされ、MUSES-Cがサンプル収集のため小惑星に接近する時、灯台の役割をするターゲットマーカーに貼付される。

さる大阪の人などは、電話で「ミリオン・キャンペーンというからには、100万円もらえるのか」と質問した。キャンペーンにあたっては、松本零士さんにはもちろん、いろいろな人にお世話になった。東京ドームに長嶋茂雄さんを日本宇宙少年団(YAC)の子どもたちが訪ねたときは、快くターゲットマーカーへの登録を承認サインし、「私も一緒に広い広い宇宙へ飛び立ってみたいよ」とはるか彼方の宇宙への想いを語ってくれた。あの年セ・リーグのトップを独走していた星野仙一監督も、「お、ホシノ王子さまか。こいつぁ縁起がいいや」と、気持ちよく登録に応じ、当時の阪神の一軍、二軍選手全員の登録もしてくれた。国民栄誉賞の鉄人・衣笠祥雄さんもやさしく登録してくれた。

ただし、有名な人を中心にするというのではなく、「国民的な応募」にしたいという趣旨だった。最近亡くなったお母さんの名前でもいいかとか、ペットの名前でもいいかとか、あるいは3ヵ月後に生まれる赤ちゃんの「仮の名前」でもいいかとか、色とりどりの問い合わせがあった。そして、夫婦とか恋人同士とか家族全員・クラス全員・学校全員などの「ぐるみ」応募の多かったことは、狙い通りだった。

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