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衛星の準備(7)総合試験

SOLAR-Bの総合試験が開始された。2005年6月から組立作業を行い、7月の末に三つの望遠鏡を搭載した光学ベンチユニットとバス部がドッキング、衛星として姿を現した。

SOLAR-Bが構造的に、あるいは電気的なシステムとして組み上がるのは、構造・熱モデル、プロトモデルも含めてこれが3度目である。さすがに3度目ともなると、驚くようなこともほとんど起こらず、スケジュール通りに組立・試験が進んでいく。特に可視光磁場望遠鏡の光学試験では、組み上がった状態においても望遠鏡の性能が維持されていることが確認された。

こうして夏の暑い季節にインテグレーションから始まったSOLAR-B総合試験も、各サブシステムの機能試験、初期アライメント計測を経て、望遠鏡性能確認試験、機械環境試験、機械環境後アライメント確認へと進むうちに、いつしか冬を迎えた。12月には、コンタミネーション(汚染)に弱い三つの望遠鏡を外してロケット頭胴部仮組みが行われた。スケジュール的には順調だが、望遠鏡を外すこの機会を利用して、いくつかの機器に改修を施すことにした。総合試験で異常が見つかったもの、「すざく」やASTRO-Fで行われた改修を踏襲するものなどだが、これらは基本的には、より信頼性を高めるための改修である。さらに、発生頻度が低いためにいまだ原因不明の不具合が1件。これについては年末年始を返上しての作業が続いている。

閑話休題。11月には京都で「第6回SOLAR-B科学国際会議」を開催した。打上げが近いということで、米・英・欧、それに中国、韓国、台湾を含む海外13の国と地域から75名(国内からは64名)もの参加が得られた。会場は、南禅寺近くの京都市国際交流会館。京都大学花山天文台にお世話をいただき、SOLAR-Bで花開く太陽物理学について、ゆったりとした雰囲気の中で深い議論ができたのは収穫であった。

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