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人工衛星のしし座流星群対策

1998年11月、しし座流星群(レオニード)の人工衛星への影響が心配され始めた。相手はたかだか大きさ1mm以下の“ちり”であり、人工衛星に当たる確率は極めて低いとはいえ、万が一当たった時にはその相対速度は70km/sもあり、最悪の場合は衛星が制御不能に陥る可能性もあった。

宇宙研の飛翔中の全衛星は安全のため高圧電源を切り、姿勢によって危険度が減ると考えられる場合には事前に姿勢の変更を行った。X線観測衛星「あすか」は長い筒のような構造をした望遠鏡であるがその開口部を流星の到来方向とは逆向きに、太陽観測衛星「ようこう」は太陽電池パドルが流星の到来方向に対して横を向く姿勢をとった。7月に上がったばかりの「のぞみ」は、地球からおよそ150万kmの距離にあり、流星の来襲を受けるのは他の衛星の一日遅れとなった。11月4日の軌道制御の際に、「ようこう」と同様太陽電池パドルが流星の到来方向に対して横を向く姿勢に変更し、流星に備えた。

さて日本中が流星ブームにわく数日が経過したが、幸いなことに宇宙研の衛星への流星の衝突はなかった。

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