第9章 M-Vの衛星たち

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『サイエンス』特集号そして帰還の途

2006年3月から4月中旬までかけて実施されたベーキングが完了し、連休前から連休後にかけて、2台のイオンエンジンB、Dの駆動試験も良好であった。そしてアメリカの学術雑誌『サイエンス』6月2日号は、日本の惑星探査としては初の「イトカワ科学観測特集号」として発行された。

「はやぶさ」運用チームは、姿勢喪失時に故障したバッテリの再充電を約半年にわたって継続したのち、2007年1月17~18日には「はやぶさ」探査機内の試料容器を地球帰還カプセルに搬送、収納し、外フタを密閉した。

姿勢制御については、これまでリアクションホイール3基のうち2基に不具合が生じていること、化学エンジンの燃料が全て喪失している状態となっていることを踏まえ、2007年2月から、イオンエンジンの運転のための新たな姿勢制御方式を採用することにした。試験運転を慎重に実施した後、4月25日14時30分、地球帰還に向けた本格的巡航運転段階に移行した。イオンエンジンによる複雑な動力飛行によって予定通り復路第1期の軌道変換を達成した2007年10月18日、イオンエンジンを停止させた。

サイエンス誌「はやぶさ」特集号表紙にチームみんなでサイン

サイエンス誌「はやぶさ」特集号表紙にチームみんなでサイン

ここまで、イオンエンジンの宇宙作動時間合計は3万1,000時間、軌道変換量1,700m/sに達しているが、推進性能も推進剤残量も十分に余力を残している。10月24日にはリアクションホイールを停止して、姿勢制御を一旦スピン安定モードに移行させた。スピン安定に入っても発生電力を最大限に維持するため太陽を追尾し続ける必要があるので、キセノン推進剤を温存するため、ガスジェットを用いずに、太陽輻射圧を用いたスピン軸制御のみで、太陽電池を常に太陽指向させる微妙な姿勢制御を実施している。

この方法で2009年2月まで運用し、その後第2期軌道変換としてリアクションホイールとイオンエンジンを再起動し、2010年6月の地球帰還に向けて動力航行を再開する予定である。

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