第9章 M-Vの衛星たち

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打上げ成功

バイコヌールまでの衛星の輸送、射場での衛星の点検作業には、特殊な環境での苦労が数多くあった。モスクワまで1日、そこからバイコヌールまでさらに1日。そこは、7月には気温45℃にもなる砂漠地帯である。大学院生や宇宙研の若手スタッフは、昼は試験室で衛星試験をし、夜は単語帳のロシア語によるシシカバブとビールで頑張った。

「れいめい」を打ち上げるドニエプルロケットは、冷戦時代、旧ソ連のICBM(大陸間弾道ミサイル)として新聞紙上をにぎわせたSS-18を商用目的に平和転用したものである。今回のドニエプルロケットには、打上げ後に「きらり」と命名されたOICETS衛星が主衛星として搭載され、「れいめい」はピギーバック衛星であった。

そして2005年8月24日6時10分、オーロラの微細構造の理学観測と先進的な衛星技術を軌道上で実証するミッションを持った、重量70kgの小型衛星INDEX衛星は、ロシアのドニエプルロケットにより、カザフスタン共和国バイコヌール基地の地下サイロから打ち上げられ、完璧ともいえる飛行・姿勢制御・分離の後、2機の衛星が軌道に投入された。

打上げ約1時間半後には、ノルウェーのスバルバード局でテレメトリ信号が受信された旨の電話が入り、内之浦20m・34mアンテナ局一同にどよめきが走った。ウェブ上でテレメトリファイルを取得し、すぐさま初期太陽姿勢捕捉の自動シーケンス過程を確認した。

打上げ6時間後の12時10分、内之浦の20m・34mアンテナ局で、予想されていた時刻・方向にINDEXからの電波が捕捉され、コマンド送信の後、モニター画面上に衛星のテレメトリ情報が表示された。太陽パドルは入感直前に展開しており、電力的にも安全な状態に入っていた。一同、ほっとする間もなく、昼に2パスの運用、深夜に2パスの運用があり、スピン状態での衛星機能の確認作業を継続し、1日に2回起きたり寝たりの生活を強いられていった。

すべての機器に異常がないまま、8月28日には超小型GPS受信器に電源を入れてからわずか7分でコールドスタート測位を完了。時々刻々と衛星位置をテレメトリで表示してきてくれる。そして、翌29日にはバイアスモーメンタムの三軸姿勢安定状態に入った。小型科学衛星による機動性と先進性のある宇宙科学・工学の時代を迎えることを願い、INDEXは「れいめい」と命名された。

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