第9章 M-Vの衛星たち

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再び降下リハーサル

11月9日のチェック・オペレーションの検討と試験結果を受け、再度のリハーサル降下試験を11月12日に実施した。この再リハーサルでは、9日に経験したのに近い降下経路を予定し、「ウーメラ域」近くの上空を迂回しながら通過したのち、「ミューゼス海」への緩降下を試み、その上空で「ミネルバ」探査ロボットの放出をした。

再リハーサルの目的は、
(A)着陸・試料採取に向けた誘導航法機能の確認
(B)近距離レーザ距離計(LRF)の較正
(C)探査ロボット「ミネルバ」の投下

まずは、12日3時00分、地上からの指令でイトカワ上空約1.4kmから降下を開始した。慎重に降下させるため速度を十分に落として誘導したことから、予想よりも1時間ぐらい降下に時間がかかったが、速度と高度の制御を行いながら、表面から約55mまで接近した。

「はやぶさ」は、着陸に際して、表面までの距離とともに、斜め下4方向への距離を計測することにより、表面へ姿勢をならわせる操作を行う。このために近距離レーザー高度計(LRF)を搭載しているが、これについても、4ビームすべてについて、実際に小惑星表面について測定値が正しく得られ、レーザー高度計(LIDAR)と同時に計測ができた。

さて言うまでもなく、「はやぶさ」の最大の眼目は小天体探査技術の確立にあり、柱としては、すでに事あるごとに述べているように、
(1)イオンエンジンの本格実用化
(2)高度な自律型探査機の技術の確立
(3)小天体からのサンプル採取の技術習得
(4)地球帰還技術の確立
という4つである。

今回、姿勢制御のための3つのホイール(アメリカ製)のうち2つが故障するという条件下で、ガスジェットを巧みに駆使して運用を続けている「はやぶさ」チームにとって、オペレーション上の余裕が非常に狭隘になっていることは明らかである。12日のオペレーションでは、前述のリハーサルの目的のうち、本番のサンプル採取に直接のつながりのあるAとBが、Cよりも優先されたことは当然のことだっただろう。このことが「ミネルバ」の運命を左右することになった。

「はやぶさ」運用室

「はやぶさ」運用室

イトカワの画像が送られてくる

イトカワの画像が送られてくる

「はやぶさ」管制室

「はやぶさ」管制室

「はやぶさ」管制室

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