第9章 M-Vの衛星たち

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前人未踏の挑戦──タッチダウンに成功!

「はやぶさ」が再び正念場を迎えた。そばで見ていても熱気が伝わってくるほど、管制室は燃え立っている。「はやぶさ」のイトカワ最接近・着地のオペレーションのタイムシーケンスが決まった。当初の計画から半日ちょっと後ろにずれることになった。

すでに前日の19日から、取材陣は相模原キャンパスA棟2階の大会議場に設定したプレスルームに詰め、各社とも気合の入った態勢になっている。寝袋を用意している記者もいる。宇宙研の広報担当との交歓も多岐の話題にわたり、決戦前夜の気配濃厚といったところである。いずれにしても、来る土曜日は眠れない。

「はやぶさ」は、11月19日の21時00分、イトカワから高度約1kmのところから降下を開始し、以後の誘導と航法は順調に行われた。翌20日の4時33分に地上からの指令で最終の垂直降下を開始し、ほぼ目的とした着地点に「はやぶさ」を緩降下させることに成功した。目標点との誤差は、おおむね30m以内であったものと推定されている。3億km彼方での誤差30mはすごい。東京から博多の0.1mmの的を射当てるくらいの精確さなのである。

小惑星イトカワに映った「はやぶさ」の影

小惑星イトカワに映った「はやぶさ」の影

「はやぶさ」管制室

「はやぶさ」管制室

地上局と「はやぶさ」のハイゲインアンテナを通じたしっかりしたリンクが確立され、「はやぶさ」のデータレコーダーに溜め込まれた膨大なデータが地上局に降って来た。2日間にわたる緊迫したデータ解析の結果、「はやぶさ」は、世界初の小惑星への軟着陸に成功したことが判明した。しかも、月以外の天体において、着陸したものが再び離陸をなしとげたのは、世界初である。

ただし、降下中に障害物を検出したので、着陸直後の「サンプル採取のシーケンス」はプログラム通りに中止された。実は「はやぶさ」は、サンプラーホーンを小天体に突き立てる形で数回バウンドした後、予定外に30分間着陸していた。その間、イトカワ表面で短いパルスのジェットの噴射を継続していて、表面のレゴリスがホーンを昇ってサンプル容器に到達した可能性がある。「はやぶさ」は、その後、地上からの指令によってフルパワーで緊急離陸した。

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