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オーロラカメラの初期運用

オーロラカメラは、3組の独立した干渉フィルター・レンズ・CCDで構成されるデジタルカメラである。代表的なオーロラ発光波長である窒素分子イオンの青色、酸素原子の緑色、窒素分子の赤色に対して同時分光撮像が可能である。衛星搭載用の工夫としては、レンズの材料に宇宙放射線に耐性がある素材(石英)を用いていること、オーロラの暗い発光をとらえるために高効率・低雑音のCCDを自然冷却式機構により-10℃程度まで冷却していることが挙げられる。

2005年8月30日の深夜、相模原市にある宇宙研「れいめい」運用室では、建物の屋上に設置された3mアンテナを用いた通信により、オーロラカメラの初めての電源投入・初期運用が行われた。太陽光に照らされた明るい地表面でCCDが損傷しないようにと、真夜中の日本上空を「れいめい」が通過するときが選ばれた。

ディスプレイに映し出される画像データを注視していた「れいめい」チームの目に入ってきたのは、画面上を流れていく夜の大都市の人工光であった。「おっ、おぉー」と、歓喜の声が運用室に響き渡った。画像が流れるのは、衛星が秒速7.5kmで通過するためである。こうしてファーストライトとして九州地方の夜間の市街地の光が8Hzの動画で撮像されたのである。

その後、繰り返し再生された画像の確認作業では、当初気付かなかった雷のような発光も発見された。流星も撮影されており、オーロラ発光に限らない地球超高層大気のさまざまな発光現象が観測されている。

打上げと初期運用は成功した。

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