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打上げ成功

発射を待つM-V-5号機

発射を待つM-V-5号機

M-V-5号機発射の瞬間

M-V-5号機発射の瞬間

打上げ状況を見つめる「はやぶさ」観測チーム

打上げ状況を見つめる「はやぶさ」観測チーム

2000年2月10日の4号機の失敗以来、3年3ヵ月ぶりの打上げであった。4号機の不具合原因に対する対策として、各段モーターのノズルスロートをグラファイト製から3次元カーボン・カーボン複合材(3D-CC材)製に変更し、検証の為の地上燃焼試験を実施してきた。この間、数々の思わぬ障害を乗り越える必要があったが、思えばよくここまで来ることができたものである。関係者のM-Vロケットの「飛翔への復帰」をかけた執念と献身的な努力のおかげである。同時にこの間、固体ロケット内の現象に関する定量的理解が大幅に進み、大型3D-CC材の国産、非破壊検査技術の進歩などの大きな成果が得られた。

フライトオペレーションでは、探査機関係作業が既に3月中旬から始められていた中、ロケット関係の作業が4月21日から始められ、27日には全員打合会が開かれた。毎日の作業には予期した以上の時間を要し、20時、21時の作業終了は当たり前、一度は午前2時を過ぎるに及び、実験班員の疲労も限界に達する場面もあった。更には、不具合部品の交換の為の綱渡りの東京往復や深夜から明け方にかけての動作チェック、雨雲の隙間を突いた電波テストのための徹夜の作業等々、かなりの無理を実験班に強いることとなった。

かくて、2003年5月9日13時29分25秒、内之浦の鹿児島宇宙空間観測所から工学実験探査機MUSES-Cを載せたM-V-5号機が打ち上げられた。飛翔は順調で、発射後350秒には第4段をスピンで所定の向きに安定化した上で分離した。打上げ23分後、NASAゴールドストーン局はMUSES-Cからの電波を受信し、DSN(深宇宙通信網)を通じて送られてきたデータから、第4段切り離し後のシーケンスが予定どおり実行され、探査機が所定の惑星間軌道に投入されたこと及び探査機の機能が正常であることが確認された。MUSES-Cは「はやぶさ」と命名された。

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