第9章 M-Vの衛星たち

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組立オペレーション

M-V型ロケットの各種のオペレーションは、3号機からは簡略化を行うことになり、その第2組立オペレーションは、ロケット機体の組立てはもとより、搭載機器についても、1、2月に相模原で行われた噛合わせ後、はじめて「灯」が入れられる試験となった。

作業は、連休前の4月23日から開始され、5月17日までの、25日間という長いものとなった。折しも、鹿児島大隅地方は、なたね梅雨がそのまま梅雨に突入したかのように、雨また雨、雨の連続で、ほとんど青空をのぞめない日々の連続だった。

考えてみると、この時期にロケットの組立てなどのオペレーションを行ったことは、ほとんどなかったとあって、作業の進行には神経を使った。特に、時折現れる雷雲には手を焼き、雷検知器の指示にしたがって、しばしば作業の中断を余儀なくされる始末だった。

宮原への落雷で火災報知器が構内全域にわたって不通となったのが、唯一被害らしい被害だったが、落雷火災の発生に火災報知器は機能しないという、奇妙なシステム的な欠陥が見いだされた事例でもあった。当然のごとく雨となった消火訓練では、宇宙研側が「雨なので……」と訓練の延期を示唆したのに対し、地元消防署員は、「プロは雨でもやります」との弁で、老練のロケット担当者もプロ意識を新たにしたところだった。

動物も春から夏へと気温の上昇にともなって、活動を切り替える時期でもあり、ヘビの出現もまた実験班を驚かせた。あろうことか、M組立室のクリーンブースにヘビが雨宿りしていたという珍事までおこり、H課長をして「(組オペで)一番大事なのはヘビです」と全員打合せ会で言わせしめる一大事件となった。

雨にもかかわらず、ロケットのプロの作業は予定より1日短縮され、ほとんどトラブルもなく無事に完了した。数々のエピソードを残しつつも、3号機の打上げに向けて、心ならずも緊張感がつのるオペレーションだった。

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