第9章 M-Vの衛星たち

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「すざく」100観測達成!

観測は順調に進み、2006年1月31日現在で、74天体をターゲットとして、109の異なる空の領域を延べ154回観測した。天体数よりも領域数や観測数が多いのは、望遠鏡の視野よりも大きな天体をいくつかに分けて観測したり、X線放射の時間変動を調べるために時間を置いて何度も見たりするからである。

これまでに「すざく」の行った観測とその成果の一例として、わが太陽系の所属する天の川銀河の中心が挙げられる。そこは単に太陽のような恒星が密集しているのみではない。日本のX線グループが、数億度の超高温のガスが高い密度で存在していることを発見し、しかも氷点下200度以下の酷寒ガスと共存していることを明らかにした特別な場所である。このような著しい不均一性をもたらしているものは何か?
銀河中心は、これらの特徴から、極限宇宙の「実験室」として重視されるようになった領域なのである。X線の放射が特別に強い領域の大きさはざっと1,000光年四方、視野角にして2度と、「すざく」X線望遠鏡の視野サイズ0.3度よりもかなり大きい。まずは最も興味深い銀河の中心とそのごく近傍を観測した結果、ほぼ一様に広がる超高温ガスと、その中に極低温ガスがくっきりと浮かび上がってきた。このような高精度の分布図は初めてであり、まさに「すざく」の性能を極限まで追求した実験チームの勝利といえるだろう。この美しい姿は実は想像を超える超高エネルギー活動の反映だと考えられている。
 科学観測を安定してできるようになり、検出器動作の評価と理解も着々と進む中、1月7日を締め切りとして、「すざく」の第1期国際公募観測の提案募集が行われた。「すざく」は世界に開かれた国際天文台であり、観測の公募開始は大きなマイルストーンといえる。アメリカからの応募が164件、ヨーロッパからの応募が51件、そして日本とアジアの国々からの応募が133件と、その数は合計348件にもなった。競争倍率も激しく、三つの地域枠に応じて3倍から6倍にも達している。「すざく」の精密分光系が失われた痛恨の事故の前にも同様の公募をしているが、そのときよりもむしろ競争は激しくなっており、広い帯域を見る新しい天文台としての「すざく」に、世界から大きな期待が寄せられていることが分かる。観測提案は審査を経て3月までに選定を行い、4月からはいよいよ公募観測がスタートした。これまでの性能実証観測のデータ解析も進みつつあり、「すざく」の特徴を活かした新しい発見が続々ともたらされつつある。

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