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射場で行った修復作業

「はるか/MUSES-B」太陽電池パドルチェック

相模原での長期にわたる衛星総合試験も無事終了し、衛星を内之浦へ運んだ後のことである。射場での試験も順調に進み最終整備も終えて、衛星をロケットに引き渡す日の最後のチェックにおいて、太陽電池パドルを押さえているワイヤーのテンションが規定を若干外れて緩んでいることが発見された。

予想もしないトラブルであった。調査した結果、ワイヤー受け金具を取り付けている衛星ハニカムパネルの座に問題があることが判明した。強度計算の見直しなど、関係者による懸命の検討の結果、ハニカム(ハチの巣)構造の一個一個に充填剤を充填し補強すれば問題ない、との結論に達した。材料の手配、徹夜で行った充填作業など、厳しいトラブル修復作業であったが、何とか間に合い、打上げに臨んだ。

打上げ後、軌道に乗った衛星の太陽電池パドルが非可視のところで正常に展開したときのうれしかったこと。関係者の努力が実り、その処置が適切であったことが実証されたのである。おそらくこの不具合を発見したこと自体が素晴らしいことなのだろう。最後まで衛星を慎重にチェックし、小さい問題点も見逃さなかった熟練技術者の目こそが、成功の鍵を握っているのだということの好例である。

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