• 前のページに戻る

LUNAR-Aの背景となった月の科学

ペネトレータは、月上空で衛星から切り離され、月表面下1~3mに貫入する。これまでの米国、旧ソ連の月探査が、表面の地形や岩石の調査が主であったのに対して LUNAR-Aミッションでは地球物理学的手法によって月の内部構造、熱的状態、月全体の化学組成を探ろうとするものである。これらは月の起源と進化を理解するために不可欠のデータであり、このミッションが将来の月科学の進展に果たす役割はきわめて高いものがある。

月の起源に関するいろいろな仮説を検討する上では、月を作った材料物質の特性を明らかにすることが重要である。アポロ計画により月表面で採集された岩石では、始源的隕石に較べ難揮発性元素に富み、親鉄性元素に欠けている。しかしこの性質が月全体の物質の特徴であるかどうかは明らかでない。とくに月全体としての親鉄性元素の存在度は月の内部に鉄に富む中心核があるかどうかにかかっている。したがって月の中心核の存在を確かめ、その大きさを確定することは、月の起源の解明に大きな役割を果たす。このことにLUNAR-Aミッションの最大の狙いがある。

カテゴリーメニュー