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「のぞみ」──火星へのはるかな旅路

M-Vロケットの3号機によって、日本はハレー探査以来の地球脱出に挑むことになった。めざすのは火星である。打上げに先立って「貴方の名前を火星へ」キャンペーンが展開され。その声をバックに、火星探査機PLANET-Bは1998年7月4日、内之浦を旅立った。

「のぞみ」の旅路は波乱万丈となった。最初のスウィングバイにおける燃料の使い過ぎ、恐らくは巨大な太陽フレアの直撃によると思われる電源系の故障。そのたびに身を削って再起を期した「のぞみ」の技術者たちの奮闘は、思い出すだに身震いがするほどの凄まじさであった。その5年余にわたるミッションから日本の宇宙科学陣の得たものは大きく、その後の「はやぶさ」をはじめとする探査機に活かされたものも多い。火星には届いたものの、ついに火星周回はかなわず、フライバイして惑星間空間に飛び去った「のぞみ」は、今でも27万人のみなさんの名前とともに太陽のまわりを回り続けている。

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