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JAXA宇宙科学研究所長 國中均が、2020年度衞藤細矢記念賞を受賞しました。衞藤細矢記念賞は、優れた業績・成果を上げた個人又は団体に贈呈されます。対象者は、日本国の自然科学・技術に関する学術及び産業社会における基盤技術の研究・開発・産業振興などの面で顕著な功績・業績があり、今後さらに大きく進展することが期待される、推薦された人物もしくは団体です。

今回の受賞は、國中均の電子サイクロトロン共鳴(ECR)イオン源をベースとした宇宙推進装置の開発と、はやぶさミッションへの応用に対する業績が評価されたものです。2020年9月17日に「はやぶさ2」は、のべ22,348時間に及ぶ地球―小惑星リュウグウ間往復のイオンエンジン運転を完了しました。「はやぶさ」と「はやぶさ2」の小惑星サンプルリターンミッションは、ECRイオン源をなしには実現できなかったと言っても過言ではありません。加えて、従来のラングミュアプローブに代わる光ファイバー式プラズマ診断技術を開発し、ECRイオン源の動作状態を測定することに成功したことも高く評価されました。この技術は薄膜生産用プラズマ装置の開発や診断に広く利用される可能性があり、産業技術の振興にも寄与することが期待されています。