4月14日文部科学省での表彰式にて(左から佐藤、大嶽、井上)

4月14日 文部科学省での表彰式にて(左から佐藤、大嶽、井上)

JAXAの研究者を代表とするグループ(JAXA所属3名、大学2名)が、令和3年度文部科学大臣表彰 科学技術賞(科学技術振興部門)を受賞しました。

文部科学大臣表彰は、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、我が国の科学技術の水準の向上に寄与することを目的として、顕著な成果を収めた者を表彰するものです。

科学技術賞(振興部門)は、研究開発の社会的必要性に関する研究等の分野において、科学技術の振興に寄与する活動を行い、顕著な功績があったと認められる個人またはグループに贈られます。

受賞業績:かぐや等の探査ビッグデータ解析による国際宇宙探査への貢献

受賞者(所属は現職):

大嶽 久志 JAXA国際宇宙探査センター火星衛星探査機プロジェクトチーム サブマネージャ
佐藤 広幸 JAXA宇宙科学研究所月惑星探査データ解析グループ グループ長
井上 博夏 JAXA宇宙科学研究所月惑星探査データ解析グループ 研究開発員
大竹 真紀子 会津大学 コンピュータ理工学部 教授
石川 博 東京都立大学 システムデザイン研究科 特別先導教授
 

[大嶽 久志 プロフィール]
大学生の時に様々な自然現象(火山,地震,気象,オーロラ,惑星進化など)の物理過程の解明に興味を持ち、3年で地球惑星科学専攻に進学し、大学院修士課程は惑星探査画像を使った研究を行いました。その後は旧宇宙開発事業団(現在のJAXA)に就職し、月探査「かぐや」の開発・運用、はやぶさ2の開発、月惑星探査データ解析の仕事に従事し、その間に惑星科学の博士号を取得しました。現在は火星衛星(フォボス)からのサンプルリターン計画の開発に副責任者として取り組んでいます。学生時代から一貫して惑星探査に携わらせていただいた幸運に感謝しつつ、今後は若い方々に色々な場面で飛躍の機会を作ることで、この世界に恩返ししたいと思っています。

[佐藤 広幸 プロフィール]
大学では岩手県早池峰山周辺の地質調査や、火星の地形の研究をしていました。JAXAに来る前はアリゾナでLunar Reconnaissance Orbiter Cameraのチームで月の研究をしていました。最近はサイエンス研究だけでなく、高精度・高精細な地図プロダクトを作成することに喜びを感じています。月惑星探査データ解析G長として、将来的にはアメリカ地質調査所惑星地質学センターや、ESAの惑星データ解析センターに負けない組織を作れたらいいなと思っています。

[井上 博夏 プロフィール]
学生時代は、制御工学を勉強しながら探査機の自己位置推定や経路計画の研究を行っていました。現在は、月極域探査などの着陸地点解析を通して、どんなタイミングで探査機が着陸、移動すると安全にミッションを行うことができるかを考えています。現在試行錯誤している解析を、今後の月探査にも効率的に活かせるように、フローや解析ツールなどを整備していきたいと思っています。

【受賞者代表のコメント】
近年、月極域にて水などの揮発性物質の存在が確認されたことに端を発し、国際社会は米国アルテミス計画や日本、EU などの月極域探査などを始めとして、本格的な月極域での資源探査および拠点構築に取り組もうとしています。

これまで、日本の月周回衛星「かぐや」(2007~2009年)をはじめ、米国やインド、中国の探査機が2000~2010年代に様々な種類の観測を行い、膨大なデータが蓄積されています。このビッグデータから如何にして、着陸・走行の安全性・太陽光エネルギー確保・地球局との通信等の条件で有利、かつより多くの水の存在が見込まれる場所を着陸探査・拠点構築の候補地として選定できるかが、月極域探査成功の重要な鍵です。

本活動では、最先端の情報分析技術も取り込んだビッグデータの解析により、3 次元地形モデルの構築、探査領域候補の選定、経路探索アルゴリズムの開発、高精度地質マップの作成を行いました。

その結果、我が国オリジナルの高精度な着陸地点選定が可能となり、国際宇宙探査の枠組で進められる月極域の資源探査において、戦略的に着陸地点を提案できる立場となりました。これにより、国際社会における日本のプレゼンスを確保し、今後の月開発で日本が躍進する上で、重要な礎を築くことにつなげたいと考えています。

20210419_2.png