受賞時の様子

受賞時の様子。伊藤氏は左から3番目。IAFウェブサイト(*)より引用
(*)http://www.iafastro.org/activities/honours-awards/luigi-g-napolitano-award/

伊藤 琢博氏(JAXA 研究開発部門 第1研究ユニット所属)は、2019年10月に米国ワシントンD.C.にて開催された世界最大級の国際宇宙会議であるInternational Astronautical Congress (IAC)にて、The Luigi G. Napolitano Awardのファイナリストに選ばれました。

伊藤氏は将来の高精度月惑星着陸を実現する新たな誘導方法(搭載計算機による高速軌道計算)を研究しており、第70回となるIACでは、"Throttled Explicit Guidance for Lunar and Planetary Pinpoint Landing"という講演タイトルで口頭発表しました。この研究は、伊藤氏自身も開発に携わる日本の高精度月着陸ミッションSLIM(Smart Lander for Investigating Moon)の先にある、より高度な高精度月惑星着陸ミッションを実現する誘導方法を提案したものです。

この研究が評価され、伊藤氏はThe Luigi G. Napolitano Awardのファイナリストに選ばれました。ファイナリストに残れるのは5人のみで、日本人は伊藤氏1名だけでした。

The Luigi G. Napolitano Awardは、航空宇宙科学分野の発展に重要な貢献をし、かつ、この研究をIACで発表した30歳未満の若手研究者1名に対して与えられる、航空宇宙科学分野における世界的な賞です。審査は厳格なプロセスを経て行われ、経歴書と発表論文の書類審査、IAC期間中の口頭発表に対する審査を経て受賞者が決まります。

伊藤氏は「大変光栄です。じっくりと腰を据えて取り組んだ研究が花開いたことがとてもうれしいです。同時に、ご指導頂いた坂井真一郎教授をはじめ、本研究の遂行にあたりサポート頂いた全ての方々に深く感謝いたします」と、とても喜んでいます。

残念ながらwinnerとしての受賞には及びませんでしたが、その研究内容が高く評価されたことになります。

伊藤氏は「これからも、将来の月惑星着陸ミッションに広く利用される誘導制御法として体系化することを目指して、本研究に取り組んでいきます」と抱負を語っています。

伊藤 琢博
JAXA 研究開発部門 第1研究ユニット所属
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 先端エネルギー工学専攻(坂井研究室)

Finalist証明書

International Astronautical Federation (IAF)より授与された、 Finalist証明書