山田 亨

JAXA宇宙科学研究所国際トップヤングフェローの和泉究氏が、2020年度岩垂奨学会賞を受賞しました。この賞は、公益財団法人岩垂奨学会が実施する、理工学研究および医薬学研究で独創的なあるいは応用的な研究に従事し顕著な功績を挙げて活躍している研究者を顕彰する賞で、岩垂奨学会が創立85周年の節目の新事業として本年度から実施しているものです。受賞対象者は過去に岩垂奨学会から奨学金を受給していた45歳未満の研究者ですが、その栄えある第一回目の受賞者として和泉究氏を含む二名が同賞を受賞しました。

受賞対象となった和泉氏の研究課題は「史上初の重力波直接観測に向けたレーザー干渉計の実験研究」です。これまでに和泉氏が実施してきた、レーザー干渉計を用いた重力波観測技術に対しての実験的研究成果、および2015年に達成された人類史上初の重力波直接観測に対する本質的な科学貢献が評価され、受賞となりました。重力波は、約100年前にアルベルト・アインシュタインによって予言された、時空の歪みが波動として伝搬する現象で、ブラックホール連星が衝突合体する際など様々な宇宙物理学的現象によって発生すると考えられており、天文学・宇宙物理学の新しい観測手段として大きな注目を集めています。2017年には和泉氏が所属していた国際研究チームの代表者三名がノーベル物理学賞を受賞しました。

和泉氏は継続的にレーザー干渉計を用いた重力波観測のための研究に従事しており、現在は宇宙空間において重力波探査を行うために必要となる技術の獲得に向けて、実験的研究や開発研究を進めています。

(宇宙物理学研究系研究主幹)

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写真:和泉究氏(左)と受賞を祝う吉田哲也研究総主幹(右)

参考ページ:2020年度岩垂奨学会賞
https://iwadare-sf.com/award-top/2020-2/