柴田 拓馬氏(現 キヤノン電子株式会社 衛星システム研究所)は、2019年11月に徳島で開催された第63回宇宙科学技術連合講演会にて、「磁束ピンニング効果を用いた宇宙望遠鏡のための非接触微小擾乱抑制機構」(講演番号1N14)と題する口頭発表を行いました。
厳正なる審査の結果、2020年1月、一般社団法人 日本航空宇宙学会より「若手奨励賞優秀賞」が授与されました。この若手奨励賞は、35歳未満の講演者を対象に、特に優秀と認められた講演に対して贈られる賞です。
受賞対象となった学会論文で柴田氏は、磁束ピンニング効果という現象を用いて、既存の機構に縛られない新規の擾乱抑制機構を数値計算と実験の面から評価を行った成果について議論しました。天文衛星が宇宙観測を行う際、内部擾乱を抑圧することが重要です。なぜならば、熱や振動といった内部擾乱の影響で天文衛星の観測機器が影響を受け、観測精度が低下するためです。
これらの内部擾乱は、一般的に天文衛星の構体を介して、観測機器に到達します。柴田氏は、「このため、私達は磁束ピンニング効果によって、電磁力で擾乱源と観測機器をつなぐことで諸問題の解決を目指しています。受賞対象となった学会論文では特に、簡易的な数値モデルと振動実験の結果を比較することで、磁束ピンニング効果による振動抑制性能について評価を行いました。また簡易数値モデルによる本提案機構の振動特性の設計手法の妥当性についても検証しています」と説明します。
受賞について柴田氏は、「若手奨励賞優秀論文という評価をいただき大変うれしく思っています。賞をいただける研究成果が創出できたのは、私の博士課程での研究を様々な面から支えてくださった坂井真一郎教授をはじめ、多くの方々のご助力があったからこそだと思っています。この研究を行う上で支えてくださった皆様にこの場を借りて感謝申し上げます。」と喜びを語っています。
柴田 拓馬
キヤノン電子株式会社 衛星システム研究所 所属
総合研究大学院大学 物理科学研究科 宇宙科学専攻 博士課程 2019年3月卒業(坂井研究室)
博士(工学)