国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2026年8月22日(土)午前0時00分に、ゴム気球を利用した「CLOVER実験:宇宙線起源解明に向けた気球・地上による宇宙線シャワー同時観測法の開発」を目的として、2026年度気球実験の小型気球BS26-03号機を、連携協力拠点である大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張時直径11mのゴム気球で、毎分およそ300mの速度で上昇しました。
ゴム気球は、放球1時間34分後に大樹航空宇宙実験場東方約25kmの太平洋上において高度約28kmに達しました。供試体は大樹航空宇宙実験場東方約35kmの海上に緩降下しました。
なお、宇宙線起源解明に向けた気球・地上による宇宙線シャワー同時観測法の開発に関しては、今回取得したデータを詳しく解析し、今後の研究を進めていきます。
放球時の地上気象状況は、天候:晴れ、風速毎秒1m、気温:摂氏19度でした。
※実験概要
宇宙線の起源解明は宇宙物理学における最重要課題の一つであり、その起源はエネルギー帯域によって異なることが予想される。特にペタ電子ボルト(PeV = 10の15乗eV)からエクサ電子ボルト(EeV = 10の18乗eV)にかけてのエネルギー帯域は、宇宙線の組成が遷移すると考えられていることから、組成(原子核種)の精密な測定が宇宙線の起源解明に対する重要な鍵となる。宇宙線から直接放射されるチェレンコフ光(Direct Cherenkov光 = DC光)は、組成の理解のための最有力な手掛かりであるが、これまでの研究でまだ断片的な情報しか得られていない。そこで本研究では、将来的に気球高度でのDC光量測定と地上検出器アレイによる宇宙線のエネルギーや到来方向の決定を包括的に行うことでこの課題を克服し、宇宙線の組成を精密に測定することを目指している。本実験は、それに向けた第一段階として、世界でも初めてとなる小型検出器によるDC光の観測を、ゴム気球を用いて試みる。
※CLOVER:Cherenkov Light Observation Venture for Energetic cosmic rays with Rubber balloon (ゴム気球を用いた高エネルギー宇宙線由来のチェレンコフ光観測の原理実証実験)![]()
BS26-03号機の放球 (クレジット:JAXA)
