国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2024年7月4日(木)午前5時01分に、薄殻エアロシェル大気突入カプセルの自由飛行実験を目的として、2024年度気球実験のBS24-02号機を、連携協力拠点である大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張時直径11mのゴム気球で、毎分およそ350mの速度で上昇しました。
ゴム気球は、放球1時間19分後に大樹航空宇宙実験場東南東約60kmの太平洋上において高度約27kmに達しました。供試体は大樹航空宇宙実験場東南東約100kmの海上に緩降下しました。
なお、薄殻エアロシェル大気突入カプセルの自由飛行実験に関しては、今回取得したデータを詳しく解析し、今後の研究を進めていきます。
放球時の地上気象状況は、天候:晴れ、風速毎秒1 m、気温:摂氏18度でした。
※実験概要
薄殻エアロシェルは将来の深宇宙からのサンプルリターンを実現するための有力な大気突入技術です。これは軽量・大面積のエアロシェルにより低弾道係数飛行を実現し、高高度での効率的な空力減速や、それによる空力加熱低減、パラシュートを必要とせず地上まで降下できるなどの利点を持ちます。この新型カプセルの実現には、低速領域でのカプセルの動的な空力姿勢安定性の理解が必要であり、風洞実験や数値解析と相補的な手段として自由飛行による実証研究が重要です。2022~2023年の計3回のRERA実験実施において、小型軽量なカプセルをゴム気球で飛揚し通常のパラシュートと同程度の速度で降下させてカプセルの空力・姿勢データを取得しました。その成果を踏まえ、本実験では、形状や質量特性などを更に変更したカプセルを用いて飛行試験を1回実施し、これら設計パラメータがカプセルの動的姿勢安定性に与える影響を評価します。
※RERA: Rubber balloon Experiment for Reentry capsule with thin Aeroshell (ゴム気球を用いた薄殻エアロシェル大気突入カプセルの自由飛行実験)
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