国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2025年6月6日(金)午前0時00分に、レーザー周波数比較による一般相対論の高精度検証に向けた基礎実験(Ⅲ-1)を目的として、2025年度気球実験の小型気球BS25-02号機を、連携協力拠点である大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張時直径11mのゴム気球で、毎分およそ320mの速度で上昇しました。

ゴム気球は、放球1時間33分後に大樹航空宇宙実験場東方約60km の太平洋上において高度約30km に達しました。供試体は大樹航空宇宙実験場東方約100 km の海上に緩降下しました。

なお、レーザー周波数比較による一般相対論の高精度検証に向けた基礎実験(Ⅲ-1)に関しては、今回取得したデータを詳しく解析し、今後の研究を進めていきます。

放球時の地上気象状況は、天候:晴れ、風速毎秒1 m、気温:摂氏12度でした。

※実験概要
極めて高精度に周波数安定化されたレーザーを大気球に搭載し、地上のレーザーと光周波数を比較することで、将来的に一般相対性理論を高精度で検証することを目指しています。近年急速に発展している高安定・高精度の周波数比較技術を活用することで、測位衛星軌道での検証をも上回る精度での一般相対論の検証が可能となります。2023年にはピギーバック実験によって気球位置での高精度測位を実証し、2024年の気球実験では地上から照射する赤外線レーザー光を気球側で受光することによって送信光リンクを実現しました。これらの成果を踏まえ、基礎実験の第3段階となる本実験では、飛翔中の撮像画像を用いたレーザー照射方位のリアルタイム補正など、光リンクの品質向上に向けた地上局の気球追跡性能の改良技術を実証します。異なる条件で検証を重ねるため、2回のフライトを実施します。

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上昇するゴム気球BS25-02号機と搭載機器 (クレジット:JAXA)

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