国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2021年8月5日(木)午前4時10分に、成層圏における微生物捕獲を目的として、2021年度気球実験のB21-06号機を、連携協力拠点である大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張体積100,000 m3(直径約63m)の大型気球で、毎分およそ300mの速度で上昇しました。
気球は、放球1時間50分後に大樹航空宇宙実験場東方約50 kmの太平洋上において高度33kmで水平浮遊状態に入りました。その後午前6時19分に指令電波により切り離された気球及び微生物採取装置は、大樹航空宇宙実験場南東約30 kmの海上に緩降下し、午前7時21分までに回収船によって回収されました。
放球時の地上気象状況は、天候:くもり、風速毎秒1 m、気温:摂氏20度でした。
※実験概要
地球生命圏が宇宙に対して開いているのか閉じているのか、地球生命が地球に固有の存在なのか、という地球惑星科学、アストロバイオロジー分野の根源的な問題を理解するため、中層大気中の微生物の形態や高度分布を観測し、地球生命圏の上端「Biopause」への理解を深めるべく、大気球を用いた中層大気中の微生物採集実験を行っています。2019年に実施した直近の実験の結果、成層圏で採取された粒子は確認されたものの、微生物は全く検出されず、Biopauseは試料採取を行った高度よりも低い成層圏最下部に存在することが示唆されました。そこで、本実験では、試料採取の高度範囲を成層圏だけでなく上部対流圏にまで広げ、微生物の数密度、種類、物理状態を網羅的に観測することで、Biopauseの高度を明確にするとともに、Biopause高度決定メカニズムの理解を進めます。