国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2025年7月4日(金)午前4時01分に、ゴム気球を利用した柔軟フレア型大気突入カプセルの飛行試験を目的として、2025年度気球実験の小型気球BS25-05号機を、連携協力拠点である大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張時直径11mのゴム気球で、毎分およそ360mの速度で上昇しました。

ゴム気球は、放球1時間18分後に大樹航空宇宙実験場南東約20kmの太平洋上において高度約28kmに達しました。供試体は大樹航空宇宙実験場東南東約50kmの海上に緩降下しました。

なお、ゴム気球を利用した柔軟フレア型大気突入カプセルの飛行試験に関しては、今回取得したデータを詳しく解析し、今後の研究を進めていきます。

放球時の地上気象状況は、天候:曇り、風速毎秒3m、気温:摂氏20度でした。

※実験概要
薄殻型の大気圏突入カプセルは将来の深宇宙からのサンプルリターンや他の惑星への大気突入を実現するための有力な技術です。利点としては、軽量・大面積の大気圏突入カプセルによる低い弾道係数、高高度での効率的な空力減速やそれによる空力加熱の低減、パラシュート無しでパラシュートと同程度の速度で地上まで降下できる、などが挙げられます。新型カプセルの実現には、低速領域でのカプセルの動的な空力姿勢安定性の理解が必要であり、風洞実験や数値解析と相補的な手段として自由飛行による実証研究が欠かせません。2022年以降に実施した計4回の気球実験にてカプセルの空力・姿勢データを取得しました。その成果を踏まえ、本実験では、質量特性を更に変更したカプセル、および従来の剛性のあるカプセルとの対比として柔軟性のある材質で製作したカプセルに関して1回ずつ計2回の飛行試験を実施し、各種設計パラメータがカプセルの特性に与える影響を評価します。

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柔軟フレア型大気突入カプセル(写真中央)と、ヘリウムガスを充てんされたゴム気球BS25-05号機 (写真左奥の白い気球)(クレジット:JAXA)

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上昇するゴム気球BS25-05号機と柔軟フレア型大気突入カプセル (クレジット:JAXA)

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