国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2022年7月1日(金)午前3時32分に、新型大気圏突入カプセルの飛行試験(RERA)を目的として、2022年度気球実験のBS22-07号機を、連携協力拠点である大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張時直径約11mのゴム気球で、毎分およそ360mの速度で上昇しました。

ゴム気球は、放球1時間18分後に大樹航空宇宙実験場東南東約60km の太平洋上において高度約28km に達しました。供試体は大樹航空宇宙実験場東南東約100km の海上に緩降下しました。

放球時の地上気象状況は、天候:曇り、風速毎秒1m、気温:摂氏14度でした。

※実験概要
将来の宇宙開発において、高頻度な宇宙輸送システムや深宇宙探査を実現し自在性を増すためには、大気圏突入技術の発展が必須です。その一つとして、深宇宙からのサンプルリターンを実現するための新型サンプルリターンカプセルが提案されています。これは軽量、大型、低弾道係数の薄殻円錐型エアロシェルであり、パラシュートを必要とせず地上まで降下できることが大きな特徴の一つです。この新しいコンセプトのカプセルの実現に必要な技術要素の一つとして、カプセルの動的な空力安定性の理解を、とりわけ、カプセルとしては低速な亜音速領域にて深めることが挙げられます。そこで、本実験では、小型軽量なカプセルを小型気球で飛揚し通常のパラシュートと同程度の速度で降下させることで、カプセルの空力データを取得するとともに飛行試験プラットフォームの構築を図ります。

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放球されたゴム気球 BS22-07号機 (クレジット:JAXA)