国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2025年6月20日(金)午前4時02分に、高精度変位計測装置の実証を目的として、2025年度気球実験の大型気球B25-03号機を、連携協力拠点である大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張体積30,000 m3(直径42m)のポリエチレン気球で、毎分およそ230mの速度で上昇しました。

気球は、放球2時間10分後に大樹航空宇宙実験場南東約30kmの太平洋上において高度30kmで水平浮遊状態に入りました。その後午前6時20分に指令電波により切り離された気球及び搭載機器部は、大樹航空宇宙実験場南東約30kmの海上に緩降下し、午前7時13分までに回収船によって回収されました。

なお、高精度変位計測装置の実証に関しては、今回取得したデータを詳しく解析し、今後の研究を進めていきます。

放球時の地上気象状況は、天候:曇り、風速毎秒1m、気温:摂氏15度でした。

※実験概要
大型望遠鏡など大型構造物を用いた科学観測の性能向上のために必須の基盤技術として、大型構造物の変形(ゆがみ)を高精度で計測する技術の開発を進めています。レーザーを用いたこの変位計測技術は、従来の変位計に比べて作動距離が長く、構造体に直接取り付けることができます。また、システム構成がシンプルであり、高信頼性・低コスト化・多様な実験への用途拡大などが期待されます。2021年以降にピギーバックを含め計3 回の気球実験を実施し、様々な長さに対する精度確認、太陽光曝露環境下での性能評価、機器インターフェースの熱応力緩和などの技術検証を重ねてきました。本実験では、これまで個別に検証してきたこれらの技術を統合し、実利用に向けた総合評価試験を実施します。
DREAM: DemonstRation Experiment of Alignment Monitor (高精度変位計測装置の実証実験)

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JAXA格納庫内でガス充てん中の大気球B25-03号機 (クレジット:JAXA)

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放球直前の大気球B25-03号機 (クレジット:JAXA)

以上