国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2020年7月14日(火)午前3時53分に、皮膜に網をかぶせたスーパープレッシャー気球の性能評価を目的として、2020年度気球実験の初号機を、連携協力拠点である大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張体積 2,000 m3(直径約18 m)のスーパープレッシャー大型気球です。

放球後、何らかの理由により気球は想定通りに上昇しませんでしたが、所定の手順により高度を維持しながら安全な海上まで飛翔させ、午前4時33分に高度10 kmで指令電波により切り離した気球および制御機器部は、それぞれ大樹航空宇宙実験場東南東約23 kmおよび約40 kmの海上に緩降下し、午前5時40分までに回収船によって回収されました。

今後、飛翔データおよび回収した気球皮膜の検査等により原因を調査していく予定です。
放球時の地上気象状況は、天候:曇り、風速毎秒1.5 m、気温:摂氏14度でした。

※ 実験概要
皮膜に網をかぶせる手法で製作されたスーパープレッシャー気球(SP気球)は、高耐圧性能を軽量で実現し、大重量の観測装置を吊り下げて長時間飛翔させることが可能な飛翔体です。本実験は、体積2,000㎥のSP気球の飛翔試験を通じて、打ち上げから回収までの一連の運用が可能であることを確認すると共に、飛翔環境下での完全展開、耐圧性能を評価することを目的として実施しました。

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JAXA格納庫内でガス充てんされる大気球 B20-03号機