国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2024年8月21日(水)午前5時00分に、火星飛行機用プロペラ推進器の高高度試験を目的として、2024年度気球実験のBS24-04号機を、連携協力拠点である大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張時直径11mのゴム気球で、毎分およそ380 mの速度で上昇しました。
ゴム気球は、放球1時間00分後に大樹航空宇宙実験場南南東約65kmの太平洋上において高度約23kmに達しました。供試体は大樹航空宇宙実験場南南東約96kmの海上に緩降下しました。
なお、火星飛行機用プロペラ推進器の高高度試験に関しては、今回取得したデータを詳しく解析し、今後の研究を進めていきます。
放球時の地上気象状況は、天候:晴れ、風速毎秒1m、気温:摂氏16度でした。
※実験概要
高精度、広範囲な磁場観測や地質調査などによって火星の惑星科学を前進させるため,火星探査用飛行機(火星飛行機)の研究開発が進められています。火星飛行機の実現には、機体の空力設計に加えて、推進器であるプロペラの設計も重要となります。火星飛行機本体の基本的な空力特性を調べるためにプロペラ無しのグライダー機の高高度飛行試験(B23-05実験)が2023年度に実施されました。その次段階として、実際に火星を飛行させる形態であるプロペラ付の機体の飛行試験が計画されています。本実験では、プロペラ付の機体の飛行試験を実現するまでの開発計画の1ステップとして、小型のプロペラのみ(翼無し)を高高度で動作させ、その空力特性を計測します。気球から吊り下げられたゴンドラにプロペラを搭載し、飛翔中に小型モーターで駆動させて推力やトルクを計測することで空力特性を評価します。
※HIGHPER: High-altitude Propeller Evaluation Research (火星飛行機用プロペラ推進器の高高度試験)
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