国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2025年8月31日(日)午前4時37分に、皮膜に網をかぶせたスーパープレッシャー気球の飛翔性能評価を目的として、2025年度気球実験の大型気球B25-04号機を、連携協力拠点である大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張体積2,000 m3 (直径18m)のポリエチレン気球で、毎分およそ340mの速度で上昇しました。
放球27分後に大樹航空宇宙実験場東南東約30kmの太平洋上において気球が高度約9 kmに達した時点で指令電波により切り離された気球及び搭載機器部は、大樹航空宇宙実験場東南東約35 kmの海上に緩降下し、午前5時32分までに回収船によって回収されました。
なお、皮膜に網をかぶせたスーパープレッシャー気球の飛翔性能評価に関しては、今回取得したデータを詳しく解析し、今後の研究を進めていきます。
放球時の地上気象状況は、天候:曇り、風速毎秒2m、気温:摂氏17度でした。
※実験概要
皮膜に網をかぶせる手法で製作されたスーパープレッシャー気球は、高耐圧性能を軽量で実現し、大重量の観測装置を吊り下げて長時間飛翔させることが可能な飛翔体です。2020年に実施したB20-03実験にて、従来の放球法では網が皮膜に損傷を与え得ることが判ったことを踏まえ、ウインチを用いた準静的な放球(打上げ)方法を新規に開発しました。本実験では、この新しい放球法を用いて体積2,000 m3のスーパープレッシャー気球を飛翔させ、放球法の有効性や放球から回収までの一連の運用性を確認するとともに、飛翔環境下での気球の展開の様子や耐圧性能を評価します。これにより、将来の科学観測への本格利用に向けた、より大型のスーパープレッシャー気球の開発の重要な足掛かりとします。
JAXA格納庫内でガス充てん中の大気球B25-04号機 (クレジット:JAXA)
放球直後の大気球B25-04号機 (クレジット:JAXA)
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