国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2024年8月3日(土)午前4時50分に、成層圏における微生物捕獲実験を目的として、2024年度気球実験のB24-01号機を、連携協力拠点である大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張体積15,000 m3(直径34m)の大型気球で、毎分およそ220 mの速度で上昇しました。

その後、午前6時27分に気球が大樹航空宇宙実験場南東約23 kmの太平洋上において高度約21 kmに到達した時点で、気球及び搭載機器部は指令電波により切り離され、大樹航空宇宙実験場南東約30 kmの海上に緩降下して、午前7時05分までに回収船によって回収されました。

なお、成層圏における微生物捕獲実験に関しては、今回取得したデータを詳しく解析し、今後の研究を進めていきます。

放球時の地上気象状況は、天候:くもり、風速毎秒1 m、気温:摂氏19度でした。

※実験概要
地球生命圏の上端「Biopause」は、地球生命圏が宇宙に対して開いているのか閉じているのか、地球生命が地球に固有の存在なのか、という地球惑星科学や宇宙生命科学の根源的な問題を理解するための鍵となります。成層圏での微生物の存在は多くの先行研究で報告されていますが、地上微生物の混入防止策が不十分なものも多いうえ、ほぼ培養法での分析しか行われておらず、成層圏微生物の動態や全体像の把握には至っていません。そこで、地上微生物の混入を避けるため、降下式インパクター型試料採集装置を開発し、2016年以降計4回、気球高度からの降下中に微生物の採取を行ってきました。しかし、これまで使用していた採取装置は着水時の採取部内外差圧が大きく、海水の浸水を誘発しやすいことが一因で、まだ生命圏界面を決定できていません。そこで、採取部内外差圧を小さく保つ採取装置を新たに開発しました。この改良型採取装置を複数個搭載するフルスペック試験に先立つ性能試験として、本実験では改良型装置を1組搭載し、浸水対策の効果を確認します。

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放球装置にセットされた搭載機器とガス充てんされた大気球B24-01号機 (クレジット:JAXA)

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放球直前の大気球B24-01号機 (クレジット:JAXA)

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放球された大気球B24-01号機 (クレジット:JAXA)

以上