国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、平成29(2017)年6月23日(金)午前4時47分に、成層圏における微生物捕獲を目的として、平成29(2017)年度第一次気球実験の初号機を、連携協力拠点である大樹航空宇宙実験場より放球しました。この気球は満膨張体積30,000 m3(直径42 m)の大型気球で、毎分およそ330 mの速度で上昇しました。

気球は、放球1時間30分後に大樹航空宇宙実験場東南東約40kmの太平洋上において高度28 kmで水平浮遊状態に入りました。その後午前6時50分に指令電波により切り離された気球及び微生物採取装置は、大樹航空宇宙実験場南東約15 kmの海上に緩降下し、午前7時40分までに回収船によって回収されました。

放球時の地上気象状況は、天候:くもり、風速毎秒1.5 m、気温:摂氏15.5度でした。

参考

成層圏における微生物の存在は、これまでにも地球大気の上部(成層圏、中間圏)での微生物採取により数例報告されています。大気上部に存在する生物種の把握や、その分布を明らかにすることは、地球生物圏の上端がどのようになっているのかを知る上で非常に重要な知見となります。今回の実験では、気球から切り離された微生物採集装置がパラシュートにより降下する間の微生物採取を目的としています。採取後は、採集装置中の微生物・微粒子試料の分析を実施します。

放球台にセットされた観測装置とJAXA格納庫内でガス充てんされた大気球B17-02号機

放球台にセットされた観測装置とJAXA格納庫内でガス充てんされた大気球B17-02号機

B17-02号機の放球

B17-02号機の放球

B17-02号機の放球(晩成方面から)画像提供:大阪大学 莊司泰弘

B17-02号機の放球(晩成方面から) 画像提供:大阪大学 莊司泰弘