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リュウグウ試料の構成鉱物。この図上で認識できる鉱物はすべてリュウグウの母天体上で水質変成によりできた二次鉱物。(©Yokoyama et al., 2022より)

小惑星探査機「はやぶさ2」プロジェクトチームでは小惑星リュウグウ試料分析を、6つのサブチームからなる「はやぶさ2初期分析チーム」及び、岡山大学並びに国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)高知コア研究所の2つのPhase-2キュレーション機関にて進めています。

この度「はやぶさ2初期分析チーム」のうち「化学分析チーム」の研究成果をまとめた論文が、アメリカの科学誌「Science」に2022年6月10日付で掲載されましたのでお知らせします。

タイトル: リュウグウはイヴナ型炭素質隕石でできている
原題: Samples returned from the asteroid Ryugu are similar to Ivuna-type carbonaceous meteorites
掲載誌:Science
DOI: 10.1126/science.abn7850

概要

「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星リュウグウ試料の化学組成と同位体組成を測定しました。リュウグウは炭素質隕石、特にCIコンドライトと呼ばれるイヴナ型炭素質隕石から主に構成されていることが判明しました。その主な構成鉱物は、リュウグウの母天体中で水溶液から析出した二次鉱物です。母天体中の水溶液は、リュウグウに元々あった一次鉱物を変質させ、太陽系が誕生してから約500万年後に、この二次鉱物を沈積させました。その時の温度は、約40℃で圧力は0.06気圧以上でした。その後、今日まで、持ち帰ったリュウグウ試料は100℃以上に加熱されていないと思われます。これらの結果から、リュウグウ試料は、これまで見つかっている隕石を含め、人類が手に入れている天然試料のどれよりも、化学組成的に分化をしていない、最も始原的な特徴を持っているものだと言えます。今後、リュウグウ試料は、新しい太陽系の標準試料として国際的に活用されていくでしょう。

詳しくは、JAXAプレスリリースをご参照ください。