現在、「はやぶさ2」はリュウグウ到着に向けてイオンエンジンの運用を行っていますが、5月11日にイオンエンジンをいったん停止して、スタートラッカ(注1)によってリュウグウの撮影を行いました。これは、探査機からリュウグウの方向を観測することによって光学航法(注2)を行うためです。
撮影は、5月11日から14日にかけて、ほぼ1日おきに3回行いました。1回の撮影では、数時間の間に3枚の画像を取得しています。撮影はすべて成功し、写っていたリュウグウの位置を正確に計測しました。このデータを使って、リュウグウと「はやぶさ2」の軌道を正確に求める作業を開始しています。
注1)通常は恒星の位置を計測することで探査機の姿勢を推定することに使われる装置。今回は、カメラと同様に画像を撮影するモードで使用した。
注2)探査機の軌道は、通常は電波による通信で推定する。これを電波航法と呼ぶが、「はやぶさ2」がリュウグウに到着するときには、リュウグウの軌道と探査機の軌道をより正確に知るために、探査機からリュウグウの方向を計測し、そのデータも利用してリュウグウと「はやぶさ2」の軌道をより正確に推定することを行う。これを光学航法と呼ぶ。