「はやぶさ2」プロジェクトチーム ミッションマネージャの吉川 真 准教授が、科学誌「Nature」が選ぶ今年の10人"The 2018 Nature's 10"に選出されました。
Nature's 10
Ten people who mattered this year.
http://nature.com/articles/d41586-018-07683-5
選ばれたことについての感想
Nature誌が人物紹介の記事を書きたいということで対応しましたが、それが"The 2018 Nature's 10"に載るものだとは全く想像していませんでしたので、選ばれたことを聞いたときにはまさに驚きでした。
何かの間違いではないか、とも思いました。全くの想定外です。私が選ばれた理由ですが、もちろん今年の「はやぶさ2」の成果があったためだと思います。この意味では私が選ばれたと言うよりは、「はやぶさ2」プロジェクトに注目してもらえたということなのだと思います。
「はやぶさ2」ミッションそのものも大きな成果を挙げましたが、今回注目された理由の1つには、英語での情報公開を積極的に進めたこともあるかと思います。これは、まさに、私自身がかなり力を注いできたことです。また、海外のチームメンバーとよい関係を保ちながらミッションを行ってきたということも評価されたことかもしれません。
さらに、個人的には修士課程のときから小惑星をテーマに選んで、その後も、天体の地球衝突問題であるプラネタリーディフェンス(スペースガード)の活動をずっと行ってきたこと、さらに「はやぶさ」、「はやぶさ2」そして他の宇宙研ミッションにずっと携わってきたことが、評価されたのかもしれません。
いずれにしても、今回"Nature's 10"に日本から選ばれたことは非常に光栄なことであり、このことで「はやぶさ2」だけでなく日本の科学・技術のよいところを世界の人に知ってもらえるきっかけになればこれほど嬉しいことはありません。これから山場を迎える「はやぶさ2」ミッションにとっても励みになると思います。
"Nature's 10"への選考において、評価していただいた皆さまに感謝いたします。
今後の抱負
「はやぶさ2」の最大の山場はタッチダウンをしてリュウグウ表面からサンプルを採取することです。
これは、「はやぶさ」で2回試みましたが、2回とも想定していた通りにはできなかったことです。
さらに、リュウグウは「はやぶさ」が探査した小惑星イトカワよりも、はるかにタッチダウンが難しい天体です。このような状況ですが、是非ともタッチダウンを成功させてリュウグウ表面からサンプルを採取し、探査機を地球に無事に帰還させたいと思います。この目標に向けて「はやぶさ2」プロジェクト一同、一丸となってミッションを遂行できるよう進めていきたいと思っています。