国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、小惑星探査機「はやぶさ2」のタッチダウンへ向けた3回目のリハーサルを平成30(2018)年10月23日から実施しています。リハーサルの際に、「はやぶさ2」に搭載しているターゲットマーカ1個を分離し、リュウグウに投下しました。ターゲットマーカはリュウグウに着地し、「はやぶさ2」から撮影した画像に写っていることが確認できました。「はやぶさ2」の状態は正常です。
JAXAは、広報・アウトリーチ活動の一環として、平成25(2013)年に「はやぶさ2」のターゲットマーカと帰還カプセルに載せるお名前・メッセージの募集を実施しました。今回投下したターゲットマーカにはみなさまから応募いただきましたお名前を搭載しており、リュウグウへ届けることができましたので、お知らせします。
参考1
ターゲットマーカ:
ターゲットマーカの大きさは直径10cmほどで、周りに貼り付けられた反射フィルムが「はやぶさ2」から発せられたフラッシュによって明るく輝きます。これをガイドにして、「はやぶさ2」はリュウグウへの着陸(タッチダウン)に挑みます。
「はやぶさ2」がリュウグウの表面に安全にタッチダウンするためには、非常にゆっくりした速度でリュウグウの表面に近づいていく必要があります。
「はやぶさ2」と地球との距離は約3億キロあります。
地球の管制室から「はやぶさ2」を操作しようとしますと、操作指示を電波で送って「はやぶさ2」に届くまで18分ほどかかります。もし、「はやぶさ2」が降下中に障害物を発見した場合、管制室から障害物を避けるように操作しても、間に合わないでしょう。このため、リュウグウの表面近くまで降下した「はやぶさ2」は自身の判断で自律して動くようになっています。
タッチダウンの為に必要なのは、まず、高度の情報です。これは「はやぶさ2」に搭載しているレーザ高度計とレーザ・レンジ・ファインダで測定できます。しかし、宇宙空間を移動する「はやぶさ2」は水平方向にも動きます。この水平方向に動く(横向きの)速度を正確に測定しないと、目標地点へ行けなかったり、タッチダウン時にバランスを崩してしまったりしかねません。
そこで、ターゲットマーカをタッチダウン地点に投下して、「はやぶさ2」を誘導します。「はやぶさ2」が発するフラッシュによって目印(ターゲットマーカ)が光り、その光を搭載しているカメラで認識することによって、「はやぶさ2」は自分の位置を検出します。こうすることによって「はやぶさ2」は横向きの速度を測定しながら小惑星リュウグウにタッチダウンをする予定です。
参考2
応募いただいたお名前のターゲットマーカへの搭載について
参考1の画像クレジットはいずれも JAXA となります。
参考2の画像クレジットはいずれも JAXA/撮影協力NEC となります。
ターゲットマーカ分離とフラッシュ点灯、タッチダウンまでの一連の動作は次の動画の10秒~30秒をご参考ください。今回のリハーサルでは、ターゲットマーカへフラッシュをあてて追跡するまでとなります。タッチダウンまでは実施しておりませんのでご注意ください。