2018年6月7日現在、小惑星探査機「はやぶさ2」は、小惑星リュウグウ到着に向けて、光学電波複合航法を実施しています。「はやぶさ2」のリュウグウ到着は6月27日前後を予定しています。

2018年1月10日から開始していた第3期イオンエンジン運転は、6月3日14:59(日本時間)に往路の運転を完了しました。往路の総増速量は約1015m/sです。往路では24kgの推進剤キセノンを消費し、推進剤キセノンの残量は42kgとなりました。

「はやぶさ2」の往路イオンエンジン運用は順調でした。「はやぶさ」と比べると、安定稼働時間が約4倍に伸びました。これは「はやぶさ」での経験から各種監視設定を適切に行えたためです。また、地上からの追跡時間を「はやぶさ」よりも35%削減して、効率的に運用することができました。イオンエンジンを含む「はやぶさ2」が快調であったことや、電波航法による軌道決定技術の向上のために、追跡時間を短縮することができました。

現在、「はやぶさ2」は光学電波複合航法を実施しています。これは探査機に搭載したカメラなどにより、目的天体を確認しながら接近する手法です。地球と小惑星リュウグウの距離は約3億km。リュウグウの大きさは1km程度しかありません。リュウグウの軌道決定精度も考慮すると、通常の電波航法のみではリュウグウにたどり着くことはできないのです。

今後「はやぶさ2」は、リュウグウ到着まで光学電波複合航法を継続する予定です。リュウグウ到着は6月27日前後を予定しています。ただし、運用の状況により到着日は数日ずれる可能性があります。

「はやぶさ2」ミッションスケジュール(暫定版)[2018年6月7日現在]

月日 事項 状況
2018 1月10日 第3期イオンエンジン運転開始 済み
6月3日 イオンエンジン運転終了 済み
6月3日 小惑星接近誘導開始(距離3100km) 済み
6月27日前後 小惑星到着(高度20km) 予定
7月末 中高度観測1(高度5km) 予定
8月 重力計測降下(高度1km) 予定
9月~10月 タッチダウン運用スロット1 予定
9月~10月 ローバ投下運用スロット1 予定
11月~12月 合運用(通信不可の期間) 予定
2019 1月 中高度観測2(高度5km) 予定
2月 タッチダウン運用スロット2 予定
3月~4月 クレーター生成運用 予定
4月~5月 タッチダウン運用スロット3 予定
7月 ローバ投下運用スロット2 予定
8月~11月 小惑星近傍滞在 予定
11月~12月 小惑星出発 予定

このスケジュールは、リュウグウ到着後、様々な要因で変更する可能性があります。