2024年3月7日、火星衛星探査機MMXに搭載されるローバ「IDEFIX(イデフィックス)」は、開発を担当した、フランス国立宇宙研究センター(CNES)及びドイツ航空宇宙センター(DLR)からJAXAへと引渡しが執り行われました。
IDEFIXは、MMX探査機本体よりも先に火星衛星のフォボスの表面に着地します。そして、探査機本体が着陸して、サンプル採取運用時のリスク低減をはかるために、フォボス表層のレゴリスのさまざまな特性を観察・分析します。さらに、サイエンス観測に必要な校正データの取得のために、フォボス表面の探査を実施します。
JAXAは、CNES, DLRから託されたIDEFIXとともに着実に火星衛星へと到着できるよう、これからも最善を尽くして、準備を進めます。
DLR, Markus Grebenstein IDEFIXプロジェクトマネージャ コメント:
「MMXの巨大なパネルを見たとき、このミッションに参加できることを本当に光栄に感じました。このミッションは複雑で野心的な目標を持ち、多くの国が貢献します。参加できることは非常に素晴らしいことですし、ローバがJAXAに無事受け入れられたを嬉しく思います。もちろん、探査機を引き渡すのは少し寂しいです。約5年間の開発期間をともにしたローバは、もう私たちのものではありません。しかし、JAXAがこの探査機でベストを尽くしてくれること、そして良い結果が得られると確信しています。」
CNES, Stephane Mary IDEFIXプロジェクトマネージャ コメント:
「IDEFIX開発の主な目的は、誰も行ったことのない場所に行くことができる探査機を作ることでした。私たちは、さまざまな種類の地表(レゴリス)に適合するデザインを作り、フォボスがどういった場所かという仮説を立てなければなりませんでした。もちろん、探査には常にリスクが伴います。このプロジェクトが新しい段階に入ることに興奮を覚えながら、日本で実施される後続の試験とフォボスでの運用のことを考えています。」
JAXA, 川勝康弘 MMXプロジェクトマネージャ コメント:
「この引継ぎは、ハードウェアの引継ぎであり、責任の引継ぎでもあります。私たちJAXAとコントラクターであるMELCO(三菱電機株式会社)は、この責任を非常に重要と考えています。IDEFIX(の引渡し)は、それぞれが独立して並行して開発されてきた多くのミッション機器を含む、すべての探査機コンポーネントを統合していく次の開発フェーズのスタートであり、最終的に探査機全体のシステムが完成します。」
JAXAは、先の「はやぶさ2」ミッションにおいても、小型着陸機「MASCOT」の搭載でCNES・DLRと協力をしており、成功に終わった「はやぶさ2」ミッションに続き、MMXにおいても、CNES・DLRと協力し、ミッションの成功に向けて取り組んで参ります。