国際火星探査計画(Mars Ice Mapper: MIM)(図1)に関し、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、アメリカ航空宇宙局(NASA)、カナダ宇宙庁(CSA)、イタリア宇宙機関(ASI)とともに、ミッションのコンセプト検討に関する意向表明書に署名しましたのでお知らせいたします (図1)[Link]。

MIMは、合成開口レーダ(SAR)を搭載した火星周回機により、火星表面下の水・氷分布を観測するミッションであり、将来の火星有人探査に向けた水資源の把握を第一目的としています。また、科学の目的として、氷の起源と分布、そして火星環境変化の解明につながる証拠の把握等が設定されています。

これまでの火星探査による科学成果の蓄積を受け、2020年代以降は、火星サンプルリターン計画(MSR)や火星有人探査計画といった大型の国際火星探査の加速が期待されます。MIMは、今回、意向表明書に署名したNASA、CSA、ASI、JAXAによる検討とともに、その他の宇宙機関や民間企業との協調も目指す国際協働探査プログラムとして、火星周回軌道投入インフラやデータ通信インフラの整備も視野に入れています。また、将来の火星探査において鍵となる項目の調査を目指しており、火星探査の新しい時代をリードしていくことが期待されています。

JAXAでは、火星探査の第一弾として、2024年度の打ち上げを目指し、火星の衛星フォボスからのサンプルリターンを目指す火星衛星探査計画(Martian Moons Exploration: MMX)[Link]を計画しています。また、宇宙理学・工学委員会 国際宇宙探査専門委員会のもとに設置された、火星探査計画の科学探査タスクフォースの中間報告書[Link]においても、将来の火星表面での探査活動に向け、周回・探査技術実証として水の分布・貯蔵に関する詳細観測が重要であることを位置付けており、日本の惑星探査コミュニティでは、MMXに次ぐ火星探査として、周回機による氷分布マッピングを目的とした探査検討を行ってきました。

JAXAは、今後、本意向表明を踏まえ、他の宇宙機関等とともにコンセプト検討チームによる、協力の組み方を含めたMIMミッションの国際的な検討に参画していきます。

図1

図1 MIMのイメージ図 Credit: NASA [Link]

図2

図2 宇宙理学・工学委員会 国際宇宙探査専門委員会「火星探査計画の科学探査タスクフォース:中間報告書(2019年2月14日付)抜粋 [Link]