「はやぶさ2」はもうすぐリュウグウに到着します。打ち上げから約32億kmを飛行し、ついに目的地が間近になりました。地球から2億8千万kmかなたの宇宙空間において、2つの小さな天体がもうすぐ出会います。

図1は、6月24日15時(日本時間)頃にONC-W1(広角の光学航法カメラ)で撮影したリュウグウです。漆黒の宇宙空間にぽつんと浮かんでいます。

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図1 ONC-W1によって撮影されたリュウグウ。2018年6月24日15:00(日本時間)頃の撮影。ONC-W1の画角から一部を切り取って示している。
画像クレジット:JAXA, 東京大, 高知大, 立教大, 名古屋大, 千葉工大, 明治大, 会津大, 産総研

図2は、6月24日の00:01(日本時間)頃に、ONC-T(望遠の光学航法カメラ)で撮影したリュウグウです。表面の様子がずいぶん鮮明に見えてきました。撮影したときのリュウグウからの距離は40kmほどです。

図2 ONC-Tによって撮影されたリュウグウ

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図2 ONC-Tによって撮影されたリュウグウ。2018年6月24日00:01(日本時間)頃の撮影。
画像クレジット:JAXA, 東京大, 高知大, 立教大, 名古屋大, 千葉工大, 明治大, 会津大, 産総研

津田雄一プロジェクトマネージャのコメント

リュウグウの形状が明らかになりました。当初遠方からは丸く見えたリュウグウは次第に四角に転じ、さらに近づくにつれホタル石のような美しい形と感じました。今や、クレーターが見え、岩が見え、場所ごとに異なる多様な地形が明らかになってきました。リュウグウのこの形は科学的に意外であると同時に、工学的に挑戦しがいがあるものです。

まず自転軸が立っています。このこと自身は着陸やローバー投下運用の自由度が高まります。一方で、赤道付近が峰になっていて、大きなクレーターもあり、着陸候補地点の選定は面白くかつ難しいものになるでしょう。また、全体として、ホタル石(あるいはそろばんの玉?)のような形状をしていることから、小惑星の表面の重力がまっすぐ鉛直下向きでない地域が広いと予想 されます。これらの観点は、今後の運用計画策定のために詳細な調査が必要です。

プロジェクトチームは、このリュウグウの姿に魅了されているとともに、これを相手に挑戦にとりかかろうと士気が高まっています。皆さんと共に、小惑星リュウグウの第一目撃者となれたことを、プロジェクトメンバー一同無上の喜びと感じて、運用を進めてまいります。

※画像を引用する場合にはクレジットを記載してください。もしクレジットの短縮が必要な場合は「JAXA、東大など」と表記してください。