運用中ジオスペース探査衛星「あらせ」(ERG)

ヴァン・アレン帯に存在する高エネルギー電子の生成過程を直接観測するための探査衛星。太陽風の擾乱によって起こる宇宙嵐に伴う粒子の生成過程や、宇宙嵐発達の仕組みを明らかにするため、放射線帯中心部で高エネルギーが生まれる過程を観測する。

水星磁気圏探査機「みお」 小惑星探査機「はやぶさ2」

地球近傍の宇宙空間であるジオスペースには、ヴァン・アレン帯と呼ばれる、メガエレクトロンボルトを超える高エネルギーの電子が充満した放射線帯領域が存在します。しかし、なぜ高エネルギー電子が生まれ、放射線帯がつくられるのかという謎は1958年のヴァン・アレン帯発見以来、解明されていません。
太陽風の擾乱によって起こる宇宙嵐に伴って、高エネルギー粒子がどのようにして生まれるのか、そして、宇宙嵐はどのように発達するのかを明らかにするため、ジオスペース探査衛星「あらせ」(ERG衛星)は、放射線帯の中心部で高エネルギーが生まれる過程を世界で初めて観測しようとしています。
高エネルギー粒子観測のため、観測器や分析器を9つ搭載し、放射線帯の謎に迫ります。

機体データ

名称(打上げ前) ジオスペース探査衛星「あらせ」(ERG)
ERG : Exploration of energization and Radiation in Geospace
国際標識番号 2016-080A
開発の目的と役割 地球近傍の宇宙空間であるジオスペースには、メガエレクトロンボルトを越える高エネルギーの粒子が多量に捕捉されている放射線帯(ヴァン・アレン帯)が存在している。

この放射線帯に存在する、太陽風の擾乱に起因する宇宙嵐にともなって生成と消失を繰り返している高エネルギー電子がどのようにして生まれてくるのか、そして宇宙嵐はどのように発達するのかを明らかにする。
打上げ日時 2016年12月20日(火)20時00分
場所 内之浦宇宙空間観測所
ロケット イプシロンロケット2号機
質量 約350kg
軌道高度 ・近地点 約440km
・遠地点 約32,000km
軌道傾斜角 約32度
軌道種類 楕円軌道
軌道周期 約570分
衛星バス部 SPRINTバス オプションB(SPRINT-B)
主要ミッション機器 ・低エネルギー電子分析器(LEP-e)
・低エネルギーイオン質量分析器(LEP-i)
・中間エネルギー電子分析器(MEP-e)
・中間エネルギーイオン質量分析器(MEP-i)
・高エネルギー電子分析器(HEP)
・超高エネルギー電子分析器(XEP)
・磁場観測器(MGF)
・プラズマ波動・電場観測器(PWE)
・ソフトウェア型波動粒子相互作用解析装置(S-WPIA)