観測ロケットK-9M

K-9M型ロケットはIGY(国際地球観測年)後に開発されたK-8型ロケットを改良したもので、初飛行は1962年、飛翔体としての完成をみた65年以後わが国科学観測ロケットの主力機として活躍した。

MT-135

K-9M型ロケットはIGY(国際地球観測年)後に開発されたK-8型ロケットを改良したもので、初飛行は1962年、飛翔体としての完成をみた65年以後わが国科学観測ロケットの主力機として活躍しました。搭載側研究者の評価も高い名機でした。“その場で”の計測を目的とし高度を必要とする場合にはK-9Mを、大重量、大容量を必要とする天文観測等の場合にはK-10を、という形で使い分けられてきました。
数次の改良を経ましたが、主なものはブースタ推薬のポリサルファイド系からウレタン系への変更(43号機)、ブースタ・メイン切断方式の変更(同)です。推薬はブースタ、メインともにウレタン系推薬のブロック・ボンディング方式、燃焼室材料はブースタがHT-100のマレージング鋼、メインはアルミ合金製でした。ノズルはともにスティール製でグラファイト・インサートがつけられ内面コーティングが施されています。ブースタ・メイン切断はラプチャ・ディスク方式、切断およびメイン点火は延時管によって行われますが、ここにはバロー・スウィッチが組込まれており、高度2.5km以下ではブースタの異常等に際しても点火しないように保安上の配慮がなされていました。飛翔安定はそれぞれ4枚の尾翼によりますが、メイン尾翼の後縁のねじりにより最終的には3Hzのスピンが与えられます。
近年に至るまで初期故障を除けばわずかに36号機と61号機の飛翔異常を数えるのみでしたが、70、71号機で相次いでメインモータが早期に推力停止するという不具合が発生しました。しかし地上燃焼実験を含む故障解析によりモータケース内のレストリクタ厚さを増すことを主とする対策を施した結果、続く72、73、74号機はいずれも正常に飛翔し、第一線に復帰しました。
K-9M型ロケットは、1988年までの間に計88機が飛翔しました。