観測ロケットMT-135

MT-135は気象観測用小型ロケットで、気象庁と東京大学の協力態勢の下に1963年に開発に着手し、1号機の飛翔は1964年7月であった。当初は観測不成功例が多かったが徐々に改良を加えることに成功した。

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MT-135は気象観測用小型ロケットで、気象庁と東京大学の協力態勢の下に1963年に開発に着手し、1号機の飛翔は1964年7月です。当初は観測不成功例が多かったのですが徐々に改良を加え、1968年4月には米国ワロップス飛行施設で、アメリカの観測ロケット「アーカス」との比較観測を実施するまでに至りました。
その後、落下水域の安全確保のため切断後のモー夕も落下傘で緩降下させるMT-135P型が開発され、内之浦での飛翔試験を経て、現在気象庁の制式機として岩手県三陸町綾里で毎週水曜日の定常観測に用いられていました。
現在までの打上げ機数は1000機を超え、他に種子島宇宙センターでも射場上空の大気データを取得する目的で打上げられました。
宇宙研としてのMT-135型ロケットの打上げは、計73機です。
推薬は低燃速のウレタン系のフロック・ボンディング方式、燃焼室材料はクロムモリブデン鋼の単管溶接構造で、ノズル外周部も一体溶接となっています。ノズル内壁はスロート部にはローカイドコーティングを施したグラファイトを、開口部にはシリカガラス繊維補強のフェノール樹脂のアブレーション材を用いています。
尾翼はチタン材一枚構造で、尾翼筒はマグネシウム合金からなり、空気抵抗を減少させるため、後側を絞ったボートテイルになっています。
ロケットは、発射後95秒にゾンデ、ノーズコーン、モータをそれぞれ分離させ、モータ側はこの時同時に放出される落下傘で降下します。その後17秒でゾンデ側パラシュートを放出して、ゾンデは緩降下を開始します。ゾンデは約60kmの高度から約90分かけてゆっくり降下し、気温、風向、風速の垂直分布を計測します。計測結果はアジア地域唯一の観測点として世界気象機構(WMO)に報告され、世界の長期気象予測に有用なデータの提供を行っていました。