水星磁気圏探査機「みお」

国際水星探査計画BepiColombo(※)の水星磁気圏探査機「みお」は、2018年10月20日の打上げ後、複数回にわたって探査機搭載機器の初期機能確認を実施し、2020年3月26日をもって予定していた探査機、搭載機器の機能確認、伸展機器の安全装置解除、観測運用準備、及び取得データ評価等が済み、初期機能確認期間を終了しましたのでお知らせします。現在、探査機の状態は正常です。
BepiColomboはこれまでにイオンエンジンによる長期間の電気推進を計2回実施しており、計画通り2025年12月の水星到着へ向けて巡航中です。

今後は定期的な機能確認に加えて惑星スイングバイ時や惑星間空間巡航時の科学観測運用を実施していく予定です。
2020年4月10日に地球スイングバイの実施を予定しており、スイングバイ期間中には「みお」搭載装置による地球磁気圏の観測運用を計画しております。なお地球スイングバイにおいては日本時間4月10日13時25分頃に地球へ最接近します。この時の高度は約12,600 km、場所は南大西洋上空を通過する予定です。
続けて2020年10月15日頃に1回目の金星スイングバイの実施が予定されています。本スイングバイ期間中にも「みお」は金星及び周辺宇宙環境の観測を計画しております。

1年5か月間にわたる初期機能確認運用にご協力、ご支援頂きました関係各方面に、改めまして深甚の謝意を表します。2025年の水星到着までまだ長期にわたるBepiColombo及び「みお」の宇宙探査ミッションに対し、引き続きお力添えを賜りたくお願い申し上げます。

BepiColomboプロジェクトマネージャ 早川基のコメント

「この4月の地球スイングバイで地球の近傍を離れ、水星への道のりを歩み始めます。ここまで無事に来られた事、関係者の皆様に感謝いたします。しかし「みお」にとっては2025年末の水星周回軌道投入・分離後からが『本番』の開始です。運用に携わるメンバー全員これからも気を引き締めて臨んでまいりますので、これからもご協力・応援よろしくお願いいたします。」

(※)国際水星探査計画「BepiColombo」(ベピコロンボ)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)担当の水星磁気圏探査機「みお」(MMO:Mercury Magnetospheric Orbiter)と欧州宇宙機関(ESA)担当の水星表面探査機(MPO:Mercury Planetary Orbiter)の2つの周回探査機で水星の総合的な観測を行う日欧協力の大型ミッションです。2つの探査機を搭載したアリアン5型ロケットは、2018年10月19日(金)22時45分28秒(現地時間)(10月20日(土)10時45分28秒(日本標準時))に、フランス領ギアナのギアナ宇宙センターから打ち上げられました。ロケットは正常に飛行し、打上げから約26分47秒後に両探査機を正常に分離したことを確認しました。
BepiColomboは、約7年かけて水星に到着し、世界初となる2機の探査機の周回軌道への投入を行います。役目を終えた電気推進モジュールを分離した状態で水星周回軌道投入を行い、まず「みお」を投入し、その後MPOを投入し、科学観測を行います。