宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2014年8月17日(日)、「スポラディックE層(注1)空間構造の立体観測」を目的とした観測ロケットS-520-29号機を内之浦宇宙空間観測所から打上げ、実験は成功しました。

ロケットの飛翔並びに搭載した実験装置の動作は正常に行われ、内之浦南東海上に落下しました。

ロケット飛翔結果

ロケット機種・号機 S-520-29
打上時刻(日本標準時) 19時10分00秒
発射上下角 80度
観測開始(ノーズコーン開頭)時刻 打上55秒後
小型姿勢制御装置による制御開始 打上61秒後
最高到達高度 243km(打上249秒後)
着水時刻 打上553秒後

今回の実験では、ロケットに搭載したプラズマ測定用プローブ(注2)が、ノーズコーン開頭後に 測定を開始し、上昇時には高度97kmに、下降時には高度100kmにスポラディック E層が存在していたことを観測しました。この間、紫外線イメージャが紫外領域 の発光を観測しました。また、ロケットに搭載した電波受信機も上昇・下降時を 通じて地上からの電波を受信し、電離圏下部に電子密度の高い層が存在していた ことを確認しました。今後、取得された観測データに基づいて、スポラディックE層の空間構造に関 する詳細な解析が実施されます。

なお、光学カメラによるロケット追跡が、発射後80秒まで行われました。
当日の天候は曇り、南東の風0.5m/秒、気温26℃でした。

今回の観測ロケットS-520-29号機打上げ実施にご協力頂きました関係各方面 に、深甚の謝意を表します。これをもちまして、平成26年度第一次観測ロケット 実験は終了となります。関係各方面のご協力に感謝いたします。

注1 スポラディックE層:地上からの高度が70km~130kmE層内に出現する、プ ラズマ密度構造が局所的に高密度になっている領域。今回の実験は、この領域を 立体的に観測することでその空間構造及びプラズマ密度変動の生成メカニズムを 解明することを目的としている。

注2 プローブ:プラズマを測定するための電極

S-520-29号機 打上げの画像

発射台でエンジンに点火したS-520-29号機

発射台から上昇するS-520-29号機

打上げ前の観測機器の写真

打上げ前に台車に運ばれるS-520-29号機

発射台に取り付けられるS-520-29号機と作業員の写真

発射台に取り付けられたS-520-29号機の全景写真発射台で空へ向けられたS-520-29号機の写真