国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、平成27(2015)年度第一次観測ロケット実験につきまして、下記の通り実施することをお知らせいたします。
実験期間
平成27(2015)年9月11日(金)~10月31日(土)(実験予備期間を含む)
実験場所
内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県肝属郡肝付町)
打上げ予定ロケット
S-520-30号機
打上げ予定日時
平成27(2015)年9月11日(金) 20時00分 ~ 20時30分
実験の目的
地球やその他太陽系天体の材料となった微粒子が作られる初期状態の再現を行います。
実験概要
天体より放出されたガスから最初に核生成する物質は、その後のダスト(微粒子)から天体に至る進化に大きな影響を与える。太陽系天体の材料となる最初の生成粒子として最も有力視されているのがアルミナ (注1)だが、地上では生成再現実験に成功していない。その理由の1つとして、地上ではガス中の対流や粒子の落下が現象の理解を妨げていると考えられる。そこで本実験では、ロケットの弾道飛行による微小重力環境を利用して、酸化物を蒸発させ、その後凝縮して、酸化物粒子が生成、成長する過程を直接測定することで(図1)、太陽系 天体の材料となった微粒子が作られていく初期状態の解明に迫る。
二波長干渉計 (注2)を用いた実験
アルミナとシリカ (注1)それぞれの核生成の起こり易さを求め、最初の生成粒子がアルミナであるか否かを検証する。
浮遊ダスト赤外スペクトルその場測定装置 (注3)を用いた実験
アルミナが核生成して更に大きな粒子へと成長する過程において赤外スペクトル測定を行い、天体のスペクトル観測でのみ現れる13 μm帯ピークがアルミナに由来するか否かを明らかにする。
注1 アルミナ、シリカ
前者は酸化アルミニウム、後者は酸化シリコン。シリカは最も豊富に存在する無機ダストが核生成する際の鍵とされている。
注2 二波長干渉計
透明試料中の屈折率が光の波長によって異なるのを利用し、ガス中の温度・濃度を非接触でかつ高精度同時観測を行うための装置。
注3 スペクトル
天体から発せられる様々な色の光を調べることで得られる情報。色や明るさ等から天体の温度や含まれる原子や分子、結晶の種類等を読み取ることができる。赤外スペクトルとは、赤外線領域内で得られるスペクトルのこと。
参加研究機関
北海道大学、東京大学、東海大学、JAXA
打上げ条件
- ロケットの保安や飛行に影響を与えない天候時であること
- 日没後の打上げであること