2019年4月11日10時51分(アメリカ山岳部夏時間、日本時では 12日01時51分)、アメリカ・ホワイトサンズにあるミサイル実験場にて、太陽観測ロケット CLASP2 (Chromospheric LAyer Spectro-Polarimeter 2)が打ち上げられました。最高高度は 274 km に達し、飛行時間 6分にわたって観測データの取得に成功しました。
CLASP2 の前身である初代CLASP(以下、CLASP1と呼ぶ) は、彩層の中性水素が出す紫外線(ライマンアルファ線)を観測しました。しかし、ライマンアルファ線のみでは彩層の磁場を精度よく決定するには至らず、コロナ加熱の謎に取り組むにはまだ不十分です。そこで次は、彩層磁場の向きや強度を得ることを目的とした計画を立ち上げました。それが CLASP2です。CLASP2 は太陽彩層が出す紫外線の偏光を測定することで、太陽大気の磁場測定を行います。
CLASP1 同様、CLASP2 も国際協力のもとで進められました。回折格子や CCD カメラはフランスとアメリカから提供を受け、日本が主導して国立天文台にて装置開発や各種試験を実施しました。また、CLASP2 の大きな特徴として、CLASP1 で使用した構体や光学素子の大部分を再利用したことが挙げられます。飛翔を終えた CLASP1 は、光学系が破損することなく地上に帰還しました。そのため、回収した装置を日本に運び、CLASP2 計画に沿った改造を施すことにより開発期間を短縮し、同時に開発費用も抑制することができたのです。
これらのロケット実験は、将来の太陽観測衛星計画につながる技術実証でもあります。今後の成果にご注目ください。
詳細は、国立天文台 太陽観測科学プロジェクト「ひので」ウェブサイトをご覧ください。