MMXでは、2026年度の打上げを目指し、現在、探査機システムPFM(プロトフライトモデル)のシステム総合試験を進めています。

システム総合試験は、探査機インテグレーションと、探査機システムの組立が完了した以降のシステムPFT(プロトフライト試験)の2つのフェーズから構成されています。本稿では、システム総合試験の概要と状況についてお話します。

探査機インテグレーション

システムPFTにおける一連の試験に先立ち、コンポーネントや探査機構体などのフライト品を用いて探査機システムを組み立てる作業工程である、組立およびDCインテグレーション(DC-INT)を実施します。組立は、復路/探査/往路各モジュールのシステム構体上にコンポーネントの搭載および計装類の機械的なインテグレーション作業となります。DC-INTは、各コンポーネントの組立作業後、バスやミッション機器と探査機バス(主に、データハンドリングや電源系機器)間との電気的インターフェースの確認や機器個別の機能確認を実施する試験を指します。

モジュール結合前には探査/復路モジュール間を試験ケーブルで接続し、結合状態を模擬して、サブシステム連接試験やシステム総合動作確認を実施します。

システムプロトフライト試験

システムPFTは、搭載機器(バス、ミッション)およびシステムPFM設計および製造結果が要求事項を満足させるに十分であり、かつフライトに供する品質を有していることを立証することが目的です。システムPFTにおける試験実施項目を表に示します。

MMXでは、火星衛星フォボスに着陸・滞在し、サンプル採取することがミッション目的の1つであることから、着陸脚展開試験やサンプリングミッション試験などのミッション特有な試験を実施します。写真は、機械環境試験前に全モジュールを結合した際の探査機システム外観です。

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全モジュールを結合したMMX探査機の外観

システム総合試験の状況

試験手順の準備においては、バスシステムは探査機システムメーカである三菱電機が、ミッション機器やそれに関する設定に関してはJAXAおよびミッション機器チームがそれぞれ分担する形で進めてきました。試験当日は、三菱電機および各機器チームとのやり取り、ミッション機器の手順進行ならびに何か問題が発生した際の判断を担う試験のスーパーバイザーをJAXA側から現場に配置する形で参加し、協力体制のもと試験がスムーズに進行するように努めてきました。各種手順や機器の動作概要などの理解が深まり、軌道上での実運用に向けてスキルアップにつながったと考えています。

MMXで実施するシステム総合動作試験の実施項目として、軌道上運用で計画している運用シナリオ(定常運用、長時間日陰、降下・着陸/滞在・離陸/上昇運用、異常時ケース、探査モジュール分離後復路モジュール単独、等)をベースに構成しています。本試験シナリオは、初期電気試験、熱真空試験(低温/高温)、最終電気試験において共通のシナリオとして実施する計画です。この他にも、火星軌道投入/離脱シーケンスやモジュール分離模擬などの試験項目も個別に実施する計画としています。

2024年初頭に本格的に組立・DC-INTが始まって以降、特に最初の頃はトラブルに見舞われることも多く、解決に向けて苦労する場面もあり、山あり谷ありのシステム総合試験でしたが、現時点では射場で実施する最終電気試験を残すのみとなりました。三菱電機鎌倉製作所での試験を全て終え、種子島宇宙センターへ向けての探査機の輸送を進めています。それが終わると、いよいよ打上げ準備に移行します。

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【 ISASニュース 2026年3月号(No.540) 掲載】