運用終了月周回衛星「かぐや」(SELENE)

月周回軌道上観測と、月探査の技術開発を目的とする月周回衛星。月の起源と進化を解明するための科学データを取得し、月の利用可能性を調査するとともに、月周回軌道への投入や、月周回中の姿勢制御技術、熱制御技術などの開発を行った。

惑星分光観測衛星「ひさき」 赤外線天文衛星「あかり」

月周回衛星「かぐや」(SELENE)は、2007年9月14日10時31分01秒(日本時間)に打ち上げられた月探査機です。この計画の主な目的は、月の起源と進化の解明のための科学データを取得することと、月周回軌道への投入や軌道姿勢制御技術の実証を行うことでした。
「かぐや」は高度約100kmの極・円軌道を周回する主衛星と、より高い楕円軌道を周回する2機の子衛星(「おきな(リレー衛星)」・「おうな(VRAD(ブイラド)衛星)」)から構成されます。「かぐや」には14種類のミッション機器が搭載され、アポロ計画以来最大規模の本格的な月の探査を行ってきました。
なお、「おきな」は2009年2月12日に月の裏側に落下し、裏側の重力場観測ミッションは完了しました。「かぐや(主衛星)」も、2009年2月11日から低高度によりこれまで以上に詳細な月の観測運用を行い、2009年6月11日に月の表側に制御落下しました。

機体データ

名称(打上げ前) かぐや(SELENE)
国際標識番号 2007-039A
開発の目的と役割 月の起源と進化の解明および月の利用可能性調査のためのデータを取得するとともに、月周回軌道への投入、月周回中の姿勢軌道制御技術、熱制御技術等の開発を行う。
・月周回軌道上観測ミッション
・月全表面の元素組成、鉱物組成、地形、表面付近の地下構造、磁気異常、重力場を、高精度、高分解能で観測する。
・技術開発ミッション
・月周回軌道への投入や月周回軌道上での三軸制御・軌道制御技術、熱制御技術を確立する。また将来の月面軟着陸技術開発のための基礎データを取得する。
打上げ日時 2007年9月14日 10時31分
場所 種子島宇宙センター
ロケット H-IIAロケット13号機
システム構成 主衛星と小型のリレー衛星およびVRAD衛星から構成される。打上げ時質量は、約3000kg(子衛星約50kg×2機を含む)
構造(主衛星) 上部モジュール:2.1m×2.1m×2.8m
下部モジュール:2.1m×2.1m×1.4m
アダプラトラス:φ2.2m八角柱×0.6m(暫定)
観測軌道(主衛星) 高度100km、軌道傾斜角90度の月周回円軌道
姿勢制御方式(主衛星) 3軸姿勢制御方式
構造(リレー衛星) 質量約50kgの八角柱状形状(1m×1m×0.65m)
軌道(リレー衛星) 高度100km×2400km、軌道傾斜角90度の月周回楕円軌道
姿勢制御方式(主衛星) スピン安定
構造(VRAD衛星) 質量約50kgの八角柱状形状(1m×1m×0.65m)
軌道(VRAD衛星) 高度100km×800km、軌道傾斜角90度の月周回楕円軌道
姿勢制御方式(VRAD衛星) スピン安定
主要ミッション機器 ・蛍光X線分光計
・ガンマ線分光計
・粒子線計測器
・地形カメラ
・マルチバンドイメージャ
・スペクトルプロファイラ
・月レーダサウンダー
・レーザ高度計
・月磁場観測装置
・プラズマ観測器
・プラズマイメージャ
・相対VLBI用電波源-1,2
・リレー衛星搭載/対向中継機
・月電波科学観測
・高精細映像取得システム
落下日 2009年6月11日(月面へ制御落下)