宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、X線天文衛星「すざく」(ASTRO-EⅡ)が、日本時間2025年1月5日23時41分ごろ、南太平洋上空(南緯18.3度、東経167.3度付近)において大気圏に再突入した*ことをご報告いたします。
「すざく」は、日米の共同ミッションとして2005年7月に打ち上げられ、X線による星から銀河団に至る様々な天体の観測を通じて、ブラックホール近傍での物質の振る舞いや、銀河・銀河団の形成進化を明らかにするなど、数多くの貴重な科学データを収集してきました。
これらのデータは、広く宇宙物理学の研究に大きく貢献し、広いX線エネルギー(波長)範囲にわたって世界最高レベルの感度を達成するなど優れた観測能力を実証し、銀河団外縁部に至るX線スペクトルを初めて測定する等、宇宙の構造形成やブラックホール直近領域の探査等において重要な科学的成果をあげています。
運用期間中、「すざく」は約10年にわたり観測を実施し、これらのデータは、JAXAのDARTS(Data ARchives and Transmission System)および米国航空宇宙局(NASA)により世界中の研究者に公開・提供されています。
「すざく」は、老朽化に伴い、2015年8月に科学観測を終了いたしました。その後も地球の大気抵抗等により徐々に高度低下が続き、2025年1月5日、大気圏に再突入しました。
「すざく」は、その長きにわたる運用期間を通じて、宇宙物理学の新たな地平を切り開く上で重要な役割を果たしました。「すざく」で培われた科学的問題意識は、X線分光撮像衛星(XRISM)等にも引き継がれ、益々発展を続けています。
本衛星の開発、運用等に関わった関係者に厚く御礼申し上げます。
*米国Space-Trackの情報による。